第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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場が一瞬静まって、朋さんはちょっぴりしんみり俯いて。 そこに”お餅界のプリンセス”、大福がポテポテと歩いてくると、朋さんにピタッとくっついたんだ。 元気づけようとしてるのかな、大福……めちゃ良い子。 って、そう言えば。 『大福と朋さんって会ったコトあるの? それと先代は朋さんが生まれ変わってないって知ってたの?」 その回答はこうだった。 前に、社長とユリちゃん、結婚のご挨拶で藤田家と清水家が集まった4月。 あの時、先代と大福は帰る藤田家と一緒になって黄泉の国へ逝った。 大福は株式会社おくりびの専属猫又として登録をしに、先代は仲良しの瀬山さんに会いにだ。 その時、生まれ変わったはずの朋さんとバッタリ会った先代は、初めて真相を知ったと言う(口止めもされていた)。 大福はというと、ただの猫又では僕を守れない。 故に今後を考え戦闘訓練を受けていたそうなのだ(それで中々帰ってこなかったのね)。 その時の教官が、霊術武術に長けた瀬山さん、そして武術だけならレジェンド越えの【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】の(おさ)である白雪さん(同じ”(おさ)”でも全然チガウ)。 で、猫又の訓練を野次馬的に視に来てたのが朋さんだった……という流れ。 『大福はスゲェよ! ジョージとバルクの訓練、ハードなのに遊びみてぇに付いてくからな!』 目をキラキラさせて大福をモフる朋さん。 えっとー”バルク”って白雪さんの事かな? 白雪さんって朋さんよりも筋骨隆々だと聞いた、てことは”ナイスバルク! 冷蔵庫!”と、ボディビルの掛け声的な、あの”バルク”なのかな? かな? 『あたり! そのバルクだ! アタシさぁ、黄泉でも強い方なんだぜ? だけどバルクだけにはどうしても勝てねぇ。強さの次元が違うんだ。でも……いつか勝ってやる……! 仕事の合間にトレーニングだ! ジョージ! アタシのコト、もっともっと鍛えてくれよな! 燃えるぜぇぇぇ!! ダァッシャーーー!!』 あー、うん、そか、頑張って。 てかさ、さっきからヘンなあだ名多くない? モッチー、ジョージ、バルク、……はぁ、やっぱし親子だな。 ヘンなあだ名、社長もすぐつけるもん。 ちなみに大福には最初、”アンコ”というあだ名を付けたらしい(大福だけに)。 だけど猫又は断固拒否、せっかく僕が付けくれた名前があるからと突っぱねたんだって。 大福……嬉しいよ……でもさキーマンさんの”ビッグラッキー”はいいの? 「そう言えば。ねぇねぇ、朋さんって黄泉の国でなんの仕事してるの? もしかして【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】? マジョリカさんと同じトコ?」 さっそく逆さ腕立てを始めた誠ママンに聞いてみる。 『違うよ、光道(こうどう)じゃない。アタシがいるのは、』 いるのは? その答えは一時お預けとなった。 何故なら、 『岡村ーーーっ! それからお嬢さんも持丸も彰司さんも猫又もっ! 聞いてくれ! 急ぎ謝罪計画を立てた! この手順なら被害者の方々、1人も漏らす事なく回れると思うんだっ!』 中村さんと手練れな霊媒師達。 その全員が興奮気味にやってきた。 霊力(ちから)でもって構築したと思われる、ホワイトボードを転がしながら。
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