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『お、お、お、岡村ぁ……! お、俺の事、絶対に忘れるなよな、絶対、絶対だぞぉ……えっ……えっぐ……えぐえぐ……』
苦内を持てば手練れだけれど、素顔は泣き虫17才。
翔君は僕に抱き着き号泣していた。
僕もすっごく淋しくて一緒になってえぐえぐで、涙が溢れて止まらなかった。
「か、翔君、えぐ……えっぐ……えぐえぐ……忘れるはずないだろう、だってキミは弟みたいなものだもの……いいかい? 朋さんの言う事良く聞いて頑張るんだよ。もう消えようなんて思っちゃダメだからね……!』
『おーかーむーらぁぁぁ…………ぁぁぁぁぁあああああん! もう会えないのかと思うと淋しいよおぉぉぉぉぉ!』
ひしっ!!
十代と三十代、僕らは泣きながら抱き合っていたのだが……
『大袈裟だなぁ……もう、』
朋さんが呆れた顔でため息をついた。
『ボスは分かってない! 俺は岡村が大好きなんだ! 次に会えるのは岡村が死んだ時……またすぐ会いたいけど長生きもしてもらいたい……えぐえぐ……岡村は口寄せ出来ないし、だから呼んでもらえない。霊視も出来ないし、希少の子なのに彼女もいないし片想いだし……もうダメだぁ……うわぁん』
ちょ、彼女がいないとか片想いとか希少の子とか、それぜーんぶ関係ないよね、んもー、涙が引っ込んじゃったじゃないのさ。
余計なコトまで言いながら泣きじゃくる翔君。
中村さんは『翔はまだ子供なもので』と大汗を掻いていた。
朋さんは怒るどころか寛容で、
『ランナー、そんなに泣くな。大丈夫だ、エイミーが死ななくてもまたすぐ会えるから』
ラ、ランナー!?
それ、翔君のコト?
まさかとは思うけど、名前が”カケル”だから走るにちなんでランナーなの?
違うからね? 漢字、違うからね? 【駆る】じゃないからね?
んで、なんでまた会えるの?
それはすこぶる朗報だけど、僕、口寄せもガチで出来ないけど大丈夫かな。
『特殊部隊の必須スキルに惑星単位の瞬間移動がある。コレを覚えないと仕事にならねぇからな。最初に習得してもらう予定だが、覚えれば好きな時に好きな星に行ける。だから泣くな、エイミーに会いたいならとっとと覚えろ』
ぱぁぁぁぁ!
泣いた翔がもう笑う。
17才は『3日で覚える!』と俄然やる気を視せていた。
そこからしばし、僕は男達に囲まれた。
みんな良い顔で笑ってる。
目の奥の暗い影が取り払われて、生き生きとしてるんだ。
これが本当に本当のみんなの姿なんだろうな。
ヤバ……これだけで泣きそうだ。
でもいいや、山に来てから僕は何度も泣いている。
もう今更だ。
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