第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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『本当にありがとな。俺も岡村が大好きだ。俺達は罪を犯した。一度は消えようと覚悟を決めた。でも奇跡が起こった、救われたんだ。お前と彰司さんと持丸さんと猫に。そしてボスに拾ってもらった。この魂、これからは誰かを助ける為に使う、絶対にな。それと、次に会う時までにお前でも扱える銃を造っといてやるからな! 楽しみにしとけ!』 そう言ってガチ泣きするのは大上さんだ。 リアルを無視した神カスタムのデザートイーグル。 しかも二丁使いだ。 カッコよかったな。 銃で炎を吹き消すなんて、そんなの誰にも出来ないよ。 ちなみに朋さんからは【イーグル】とつけられた。 愛銃の名前だね。 『えぇっとー、岡村君。森木は……森木は……弱虫でした。理屈ばっかりこねて勇気がイマイチ足りないんです、はい。でもね、岡村君の新人ながら色んな事を考え、失敗を恐れず挑戦する姿、胸に響きました……はい。本当に、本当にね。だから最後、薙刀を投げる事が出来たんです。いつもの森木なら失敗したら恥ずかしいと霊体(からだ)が動かなかったと思います、はい。これから森木は頑張りますよ。惑星単位の瞬間移動も早く覚えます。次に会ったら是非囲碁をしましょう、はい。岡村君、キミは優しい子。これからも沢山のヒトを救ってね、はい』 森木さんはお爺ちゃん。 白髪の頭はもじゃもじゃで、”えぇっとー”が口癖だ。 緊迫した空気でも、森木さんが話し出すと空気が柔らかく和むんだ。 薙刀投げたの、痺れました。 綺麗なフォームであんなに遠くに。 弱虫なんかじゃないですよ、優しくて強い(ひと)だ。 ちなみに朋さんからは【ウッディ】とつけられた。 ”森木”の中に”木”が4本もあるからだって。 『岡村の癒しの霊力(ちから)は格別だな。(おさ)の毒、大橋が吸ってくれてもいつもなら暫く動けなくなるんだ。だのに、あの後の俺は絶好調だった。俺はな、生意気言っても甘えん坊な(かける)が、あんなに頑張るとは思ってもみなかったんだ。岡村は凄いな。(ひと)の良い所、隠れた能力、そういったものを引き出すのだから。……俺もそうだ。前々から思ってたんだ。大鎌を使えば(おさ)の小蛇を刈れるかもしれないと。だが怖くてずっと出来ずにいた。お前のおかげだよ。霊視も出来ない霊媒師、それでも工夫して、知恵を絞って一生懸命頑張るだろう? お前の姿に目が覚めたんだ。仲間の為、ギリギリまで霊体(からだ)を張ってやるってな。俺もお前が大好きだ。娘の婿にほしくらいにな』 杉野さんの小蛇刈り、あれは圧巻だった。 雄叫びを上げながら、霊体(からだ)よりも大きな鎌で、自身が毒に侵されるのも承知で、みんなの為に血路を開いたんだ。 杉野さんは男の中の男です。 僕も杉野さんみたいになりたいよ。 ちなみに朋さんからは【JIN(ジン)】とつけられた。 え、そのままじゃん、名前は仁さんでしょう? と思ったら、朋さんの好きなお酒がJIN(ジン)なんだって。
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