第二十章 霊媒師 瀬山 彰司

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しかし朋さん、あだ名付けまくりだな。 軍団イチのイケメン、長澤さんは【エノコ】(名前が”(たくみ)”でカタカナの”エ”に似てるのとノコギリ使いだから、エ+ノコ=エノコ)、 大橋さんは【ポイズン】(毒に強いから)、 近藤さんは【みゃび】(名前が”雅”でみやび→みゃび)、 高野さんは【コンボ】(愛武器が”こん棒”だから)………… ははは……こんな感じで27人。 もうね、朋さんはどーしてもあだ名を付けたいみたいで全員に付けていた。 ちなみに僕らのポニテのいぶし銀、中村さんは【センターソン】だ。 中村の”中”→”センター”、”村”→音読みで”ソン”なんだって。 なんだろな、このファニーな感じは。 中村さん、下の名前は”武弌(ぶいち)”だよ? カッコイイのにそこはスルーで”センターソン” もうさ、親子揃ってこのセンスですよ。   だけどね。 意外な事に、みんなはこのヘンテコなあだ名をすごく気に入ったみたいなの。 用もないのにお互いを呼び合って、そのたび笑って、そのたび嬉しそうに照れるんだ。 で、新しい上司である朋さんの事は”ボス”と呼ぶ事にしたみたい。 赤髪のボスは並ぶみんなの前に立ち、稲妻のような大声を上げた。 『お前らぁっ!! 言っとくがアタシは厳しいからなっ!!』 ウッス!!!! 『魂かけて訓練について来いっ!!』 ウッス!!!! 『アタシの命令は絶対だっ!!』 ウッス!!!! 『ブラック上司と思って覚悟しろっ!! 何か質問はあるか!!』 ウッス!!!! (質問……? ザワザワザワ……) う、うわぁ……なんかスゴイな……厳しそうだな……と僕が密かにガクブルしていると、怖いもの知らずのティーンエイジャー、(かける)君が手を上げた。 『ボスは厳しいって言ったけど、それって……やっぱし失敗とかしたら俺らを喰うのか?』 わぁお! またダークな質問きたよ!  朋さんは『えぇ!?』と一瞬怯むも顔を引き締めこう答えた。 『喰う訳ねぇだろ』 オォッ!!(みんなの歓喜の叫び) 『じゃあじゃあ、魂かけて訓練について来いって言ったけど、訓練ってさ、不眠不休で吐いても許してもらえない感じか?』 『休憩無しってそんなのアタシがヤダよ。カリキュラムによるが普通に休憩はある。吐いてもって言ったが、黄泉にはオートリカバーがあるからどれだけ動いても体調不良は起こらない。その黄泉で吐いたなら緊急医療機関があるからすぐに連れてく。当たり前だろう?』 オォォォッ!!(みんなの更なる歓喜の叫び) 『じゃあじゃあじゃあ! 命令は絶対って言ったけど、どうしても従えないって事がもしあったら……それは言ってもいいのか? 言ったら喰われるか?』 朋さんは右手を目に当てため息をついた、が、気を取り直しこう答える。 『あのな、アタシの命令に本当に納得がいかなければ意見したって構わねぇよ。アタシも人間だ、間違う事もあるかもしれねぇ。まぁ、そうならねぇようにするつもりだけどよ。とにかくだ、ウッカリでもお前らを喰ったりしねぇ。つか喰いたくねぇわ』 オォォォオオオオオオオオオッ!! (みんなの野太い歓喜の絶叫) ホワイトだ!! ホワイト上司!! (勝訴ー!! みたいなノリで) ぜ、ぜんぜんブラックじゃない!! (嗚咽を漏らしながら) 訓練中に休憩とか優良すぎるー!! (祭りだ祭りだーっ!! ぽく) みんなは肩を抱き合い大喜びだ。 あー、うん、そだよね。 前の上司、ガチブラックだったもん。 あはは、本当に良かったね。 特殊部隊は大変だとは思うけど、ホワイト上司の朋さんなら安心だ。
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