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さてと____赤髪の隊長は独り言ち、スウッと息を吸った。
そして。
『よく聞けっ! これから全員、雲の位置まで上昇する! そこから黄泉まで移動は一瞬! 瞬き一つで到着だ! へへっ! お前ら驚くぞ! 向こうの住人は地球人だけじゃねぇからな! 色んな星の奴がいる! 数だってハンパじゃねぇ! 視た目もそれぞれ! 誰がどうとか過去がどうとか一切関係ねぇ! 黄泉じゃみんなが対等だ! いいか! お前らはもう悪霊じゃねぇ! アタシの部下だ! 黄泉の国所属特殊部隊、バッドアップルの隊員だ! 誇りを持て!!』
オォォォォォォォォッ!!!
野太い豪声が響き渡り、みんなの目に力が漲る。
ああ、この目だ、この目をもう一度視たいと思って僕は____
ブワッ!!
足元から風が吹き上がった。
同時、朋さんと、みんなの霊体が浮上する。
『ガハハハハー! んじゃーまたなー!』
朋さんの笑い声だ。
その声尻に重なるように、
『 俺、瞬間移動3日で覚えるからー! またなー!』
『岡村ー! 銃、楽しみにしてろよー!!』
『えぇっとーーー! 次は囲碁をしましょう、はいぃぃぃ!』
『パン旨かったーーー! ありがとなーーー!!』
『岡村ーー! また癒してくれーーー!!』
『いいかーー! 自分の弱点を喋るんじゃないぞー!!』
『岡村ー!!』
『おかむらぁぁ!!』
男達の声が優しい雨のように降ってきたんだ。
「またねぇぇぇ!! みんな頑張ってねぇぇぇ!!」
僕も負けじと大声出して、ブンブン手を振っていた。
ああ……声が遠くなる……涙がこみ上げ視界が歪む……
『……だん……だんだん……』
『だんだん……だんだん……』
『岡村……だんだん……だんだん……』
『だんだん……岡村……だんだん……』
『だんだん……だん……だんだん……』
だんだん……?
なんだろ、どういう意味……?
「みんなっ! それなに……!?」
答えが降ってくる前に、空がカッと赤く光った。
目を細め視上げた先の高い位置。
そこには大きな火球が浮かんでいた。
あれは……朋さんが来た時の火球だ。
最初に視たのより随分と大きい。
ああそうか、あの中にみんながいるんだ。
それで、あの火球がみんなを、黄泉の国へ________
________ブンッ、
電子機器の起動音、
それに似た音がして、
その瞬間、
火球は跡形もなく消えた。
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