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「……逝ったんだ、みんな……黄泉の国へ……あは……あはは……良かった……本当に良かった……」
腰が抜けそうだ。
僕はその場にペタンと座り、空を視上げていた。
____そこから黄泉まで移動は一瞬!
____瞬き一つで到着だ!
朋さんはこう言っていた。
という事は、もう黄泉の国に着いているのだろう。
みんなの新しい未来の始まりだ。
良かった……嬉しい……!
朋さん、みんなの事、どうぞよろしくお願いします。
『岡村君、』
『岡村さん』
『うなぁん』
僕を呼ぶ声、視上げればニコニコと笑う2人と1ニャン。
「先代、瀬山さん、大福……みんな、逝ってくれましたね」
『うん、良かったですよ』
『これから忙しくなりますね』
『なごなごなご』
賑やかな朋さんと27人の手練れ達。
みんなが急にいなくなり、山は随分と淋しくなってしまった。
咲き溢れる百色華は薄青に揺れている。
「あ……そうだ、黄泉の国に逝く寸前、最後にみんな『だんだん』って言ってたんだ。あれってどういう意味なんだろ? それともアレかな、何か言いかけてた途中なのかな? 先代達なら分かりますか?」
ダメ元で聞いてみた。
だんだん……この後に何か続いたのかな?
だんだん、おなかがすいてきた、とか。(そんなわけないか)
僕の質問に先代と瀬山さんは顔を視合わせた。
やだ、またクイズだったらどうしようなんて思っていたけど、今回はアッサリと教えてくれたんだ。
『ふふふ、東京に住む岡村君には分からないよねぇ』
そう言った先代はふにゃりと笑う。
瀬山さんもおんなじで、
『私と平ちゃんは2人の時によく使うよねぇ』
と口元を緩ませる。
なんだろ、どういう意味だろとドキドキしながら待ってると、先代が言ったんだ。
『んふふ、さっきのは島根の方言。あのね『だんだん』っていうのはね、『ありがとう』という意味なの』
え……ありがとう……?
ありがとう……ああ、そうか。
『だんだん』はそういう意味だったんだ……ありがとう……か、僕の方こそ……だんだん、だよ。
『きっとみんなは、もう移動がかかってしまう、けど、それでも最後に”ありがとう”と言おうとして、つい地元のコトバが出たんじゃないかな』
瀬山さんはそう言いながら、目にかかる僕の前髪をどかしてくれた。
『岡村君、よく頑張りましたねぇ』
『岡村さん、みんなを救ってくれてありがとう』
優しい顔で、優しい目で、優しい口調で、2人の言葉が心に染みる。
「ううん、ううん、僕の方こそ……助けてくれて、教えてくれて、朋さんに話してくれて、本当にありがとうございました。……大福もありがとう。みんながいたからうまくいったんだ」
修行、来て良かったな。
色々あったけど、大変だったけど、それでも来て良かったよ。
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