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『おぅ、岡村。免許証出せ。保険証じゃだめだ。顔写真が載ってるヤツを見せろ』
免許証拝見って……職質?
でも死刑にはなりたくないので財布から免許証を取り出して、表面が見えるように差し出した。
『ふん、名刺の名前と免許証の名前、それに顔写真も同じみてぇだな。で? 貴子は俺の大事な一人娘だが、娘に会ったって言ってたな? 岡村ぁ、正直に言え。娘になにかひどい事なんざしてねぇだろうなぁ?』
「いえ、そんな、まさか、はは、はははは……」
逆ですよ。
僕が娘さんに首絞められたんです。
そんな事は言える訳もなく曖昧に笑った。
『ハッキリしねぇ男だな、だらしない顔で笑うな。……岡村……おまえ霊媒師って言ったな?』
「は、はい。そうです」
『霊媒師って言ったら、幽霊を祓うっていうアレか?』
「まあ、そんな感じです。すべての霊を祓う訳ではないのですが、」
『もしかして……霊媒師がこの辺ウロついてて、貴子に会った事があるって事は……まさかアパートに行ってたのか? 大家にでも頼まれて』
「え、あ、はい」
『まさか……まさか……岡村よ……貴子を祓ったのか……?』
空気が変わった。
ピッと頬に痛みが走り、手をやると指先には血がついている。
そしてお父さんの足元で、ザザッっと立たないはずの土煙が上がったかと思った次の瞬間、僕は目を疑った。
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