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アパートに帰ったら大福に”ちゅるー”と、そうそう鳥のささ身を茹でてあげよう。
それから、おくりびのみんなに修行のコトたくさん話して、そうだ、ネクロマンサーさんと大和さんにもお礼をしなくちゃ。
ふふ、結構忙しいな。
さてと。
長を倒し、みんなを黄泉の国へと送り出し、あとは……帰るだけ。
修行は家に帰るまでが修行だからね。
気は抜かないぞ。
僕は立ち上がり帰り支度を始めようとした。
んが、しかし、平成生まれのこの僕は、昭和(初期)コンビの恐ろしさをまだ分かっていなかった。
『あれ? 岡村君、もう休憩終わり? いやぁ、さすがだねぇ! 体力、気力共に充分だ! ねえ、ショウちゃん!』
ぱぁぁぁぁぁぁ!
若者姿の先代は輝く笑顔を僕に向ける。
『うん、平ちゃん! 岡村さんは大したものだよ! さすがは30才の少年だ、これは年寄りも負けてられないね!』
ぴかぁぁぁぁぁ!
御年生きていれば80才(80から視たら30は少年らしい)。
視た目は二十歳の瀬山さんも眩しい笑顔を僕に向けた。
ん? ん? ん? んーーー?
「えっと……先代? 瀬山さん? んーと、あの、”休憩”って……?」
恐る恐る聞いてみる。
や、え、まさか。
『ん? ほら、最初の予定とちょっぴり変わっちゃったけど、ここまでは総合戦闘訓練。休憩を挟んで次の修行に入るんだよ。んもーあたりまえじゃなーい♪』
先代!? おぁ!? ちょ、まって、え?
『平ちゃんの言った通り。この後は霊術体術の技術向上訓練……と言いたいトコだけど、先に野営の仕方を覚えようか。我々は食べなくても大丈夫だけど岡村さんは生者だからね、食べないと弱ってしまう。幸いココは山の中。食べられる物、そうでない物の見分け方を教えてあげるっ♪』
瀬山さん!? うぁ? へ? えぇ!?
ウソだろ……?
いや、だって、長倒したのほんの少し前よ?
それだってあの”瀬山の霊能軍団”を持ってしても、あんだけ大変だったのに?
僕にしてみりゃ死闘だよ?
これで終わりじゃないの?
え? え? えーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
「せ、先代? 瀬山さん? じょ、冗談デショ? さっきの戦い、アレで修行は終わりじゃないの?」
恐る恐る聞いてみる。
この2人、僕を驚かそうとしてるんだ、だって、あんなハードだったもん!
『岡村君こそナニ言ってるの、せっかくショウちゃん来てくれてるのに勿体ないでしょぉぉぉ! まだやるよ! 続くよ!』
フンガー! な先代と、
『そうだよぉ。また現世に来たいなぁと思うけど、毎週という訳にはいかないからね。私が来た時は出来るだけの事を教えたいの!』
ピカー! な瀬山さん。
2人は目をキラキラさせて、声を揃えてこう言った。
『『ふふふ、ごめんね。
我々昭和生まれの人間は、無理してナンボの根性論者!
若いキミには悪いけど、年寄りのやり方に合わせてちょうだーーい!!』』
『にゃっにゃーーーーー!!』←大福も昭和生まれ。
あっひゃーーー!!
マジか……マジなのか……うぅ……こうなったら腹を括るしかないっ!!
「わかりました! 受けて立ちます! とことん僕を鍛えてください! あ、でも、その前にお腹空いた。さっき言ってた野営の方法、食べられる物探しに行きましょ!」
れっつごーーーー!!
かくして僕達は走り出す。
ああ、風が気持ちいい。
視上げれば雲の切れ間、そこから光が漏れ落ちて天使のはしごが掛けられる。
大地を視れば百色華は満開で、虹色の絨毯が果ての果てまで広がっていた。
霊媒師 瀬山 彰司__了
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