第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ ~~こ、ここが黄泉の国!? 元瀬山の霊媒師軍団・(かける)視点~~ ボスの瞬間移動は子供の頃に乗ったブランコによく似てた。 ブランコを勢いつけて漕いでると、腹がフワーッてくすぐったくなるだろ? 移動は一瞬だったけど、霊体(からだ)が宙に浮く感じとか、腹がフワーッとする感じとか、あ、これブランコに似てるなって思ったら、おかしくなっちゃってさ。 だって惑星単位の瞬間移動なのにブランコだぜ? あははは! ギャップはあるし腹はくすぐったいし。 俺、一度おかしいって思ったら我慢出来ない、笑っちゃう。 だから笑うつもりで口を開けたんだ。 そう、笑うつもりで…… 『わーーーーー!! なんだここはーーーーー!?』 ブランコから降りた瞬間、思わず叫び声が出た! 笑ってる場合じゃない! なんだここ、なんだここ、なんだここ、なんだここーーー!? 黄泉に着いて早々、俺はビビリまくったんだ! だってさ、だってさ、こんなデカイ街、俺、視た事がない! 山の中とぜんぜん違う、どこを向いても建物がある! 雲まで届きそうな高いビル、広い道の両側にはキレイな店がズラーッと並んで、買い物客でいっぱいだ! ここは東京……? いや……いやいやいや、もっとだ、ココ、東京よりも都会だよ(ま、まぁ、東京なんてテレビでしか視たコトないけど、でもたぶんそう)。 あとさ、あとさ、ヒトがすごく多い! こんだけ大きな街だから、みんな遊びに来るんだろうけど、それにしたって……(キョロキョロ)色んなヒト(・・・・・)で溢れてる。 そういやボスが言ってたな、 ____向こうの住人は地球人だけじゃねぇからな!  って。 ホントに……(キョロキョロキョロ) 視た目が俺らと近いヒト、俺らとぜんぜん違うヒト……色んなヒト”がたくさんいる。 ”地球人だけじゃねぇ”ってコトはこのヒト達……もしかしてみんな宇宙人なのか? ………………マジで? うっわぁぁぁっ! すっげぇぇぇっ! 宇宙人って本当にいたんだぁぁぁっ! わーわーわー! 母ちゃんと(そら)(妹)にも教えてやりてー! こんなに近くでこんなにいっぱい宇宙人が歩いてる! 空にはシャチが泳いでいるし、地上では赤い鱗のドラゴン、スーツ姿の犬、人魚の女の子、二本脚で歩く猫、背中に翼が生えた人もいる!  すごいなー! すごいなー! ……ん? なんだあの子は。 薄茶色のウサギがピョンピョン跳ねてカワイイんだけど、頭にヘンなカチューシャ付けてる、アレなんだ?  えっと……えぇぇ……?  人の耳ぃ?(カチューシャに人の耳が付いてる……ちょっとキモチワルイ) あの子、自前のウサ耳の下に、わざわざ人間の耳っぽいモノ付けてるんだ。 な、なんで? 付けない方がカワイイと思うけど……あれはもしかして……オシャレなのか?  んー、俺、ずっと山の中にいたからかわからないや。
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