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スゴイ……黄泉の国はまるでおとぎの国だ。
こんな世界があるなんて知らなかったよ……視てて飽きない、色んなヒトがいる、みんなキレイな服を着て楽しそうに笑ってる。
きっと旨いものも食べてるんだろうな。
母ちゃんと空……今頃何してるんだろ、元気でやってるかな。
あ……あのヒトが着てる服、母ちゃんに似合いそうだ。
あっちの人はソフトクリーム食べてる、空にも食べさせたいなぁ。
特殊部隊って……給料いくらなんだろ?
稼いだ金、現世に送れないのかな。
『……イ……オイ……オイ、ランナー、聞いてるか?』
はっ!
ボスが俺を呼んでる!
『な、なに?』
慌てて返事をすると、ボスもみんなも揃って俺に注目してた。
や、やばい。
ちょっと夢中になりすぎた。
話を聞いてなかったって怒られるかな、喰われるかな……いや、それは大丈夫、ボスは俺らを喰ったりしない。
『なんだ、ビックリしたのか?』
そう言って俺を視るボスは……笑っていた。
あ……怒らないんだな……長なら絶対怒るのに。
『あ……と、うん、ビックリした。だってさ、だってさ、山とぜんぜん違うから』
俺がそう答えると、中村さんも杉野っちも他のみんなも何度も頷いて、目をパチパチしてたんだ。
隙あらばキョロキョロしてさ、俺達は完全におのぼりさんになっていた。
そんな俺らにボスはニヤリとして言ったんだ。
『山と違うか、ははっ! そうかもな。だが驚くのはまだ早い。黄泉の国はなんでもある、なんでも手に入る。視てみろ、たくさん店が並んでるだろ? 服屋に靴屋、アクセサリーにレストラン、どこに行っても金はいらない。すべてタダなんだ』
『『『『『『『 えぇっ!!!』』』』』』』
街中で、ヒトの目があるっていうのに俺達は大きな声をだしてしまった。
タダ……?
店で売ってるものがタダ?
そんなコトある訳ないじゃん!
『あの……ボス。あんまり我々をからかわないでください。何かを手に入れるには金がいる。タダで手に入るなぞあり得ない。……ああ、そうか。我々が緊張してるから冗談を言ってくれたんですね? ボスの優しさだ』
さ、さすが中村さん。
そうか、そういう事か。
俺達はからかわれたんだな……と思っていたのに。
ボスは言ったんだ。
『いや、からかってねぇよ。ここに通貨の概念はねぇ。ガチでなんでも手に入る。それが黄泉の国だ』
……通貨の概念がない?
それじゃあ、特殊部隊に給料はないのかな。
という事は……現世に仕送り出来ないのか。
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