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街を歩いて10分もしないうち、俺達は目的地に着いた。
『はい、到着ー。おまえら全員いるかー、ココが【黄泉の国入出国センター】だー、これから入国手続きするからなー、全員終わるまでアタシもいるから安心しとけー』
な……なんだココ……すっごく大きな建物だ。
それに形も変わってる、卵みたいに丸っこい。
出入り口もその分デカくて、ボスが言うにはいろんな星から死者が来るから、霊体が大きな霊でも入れるようにしてるんだって。
それにしたってデカすぎだ。
建物の中に入ると、そこも色んなヒト達で溢れかえっていた。
霊体がブリキで出来たヒト、宙で泳ぐ白イルカ、ピンクの毛皮のオオカミに、言葉を話すスポーツカー(人は乗ってない)、視れば視るほど色んなヒト達がいる。
すごいな……俺はさ、山の中が世界のすべてだと思ってた。
おっかない長がいて、その長に魂を握られて、世界は怖い所、楽しい事なんて何もないって思ってた。
だけど黄泉の国はまるで違う。
視るものすべてが新しい。
大きな街、大きな建物、ズラッと並ぶキレイな店。
ココもそうだ。
真っ白なキレイな建物……こんなの山にはなかったよ。
俺のいた世界は狭かったんだな……黄泉にあって山にもある、なんてモノはひとつもない。
……
…………ん?
あれ……? あれ……?
あれって……もしかして……あーーーーっ!
黄泉にあって山にもあるモノ発見っ!
窓んトコに飾られているあの花!
あれは山にもあった!
時間で色を変える花!
確か名前は百色華、瀬山さんが構築した花だ!
わーー!
すごい! すごい! おんなじ花!
こんな所で視れるなんてすっげー嬉しーーー!
花! もっと近くで視たーーーい!
タタタッ!
ちょっとだけ、そう思って走り出したその直後、俺はボスに捕まった。
『ランナー、おまえは子供か? これから手続きだろうが。勝手にどっか行こうとすんな。ナニを視つけたんだか知らんけど、先にコッチだ』
そう言ったボスは容赦がない。
俺をズルズル引きずって、そのままエレベーターに乗り込んだ。
みんなも後から着いてきて、それで、俺を視て笑うんだ。
んもーなんだよ!
笑ってないで助けてくれよ!
俺はガンガン文句を言った。
けどさ、みんなもボスも『オマエがワルイ』と口を揃えて笑ってるんだ。
なんだよー!
なんだよなんだよなんだよー!
……
…………
………………本当に、なんだよ。
道行く人がニコニコ笑う、みんなも笑う、ボスも笑う、俺も笑った。
楽しい____と思ってしまう。
本当は思っちゃ駄目なのに。
罪人なんだ、俺は、俺達は悪い事をしてきたんだ。
だから駄目だ、心から楽しいと思っちゃ駄目なんだ。
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