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こんなに乗ってもギュウギュウにならない。
広くて大きなエレベーターがどんどん上にあがってく。
床も壁も扉も全部、ガラスで出来た箱だから、下を視れば大きな街が一望できた。
街の北側、そこは広大な草原で、たくさんの大きな木と百色華が咲き溢れていた。
上から視ると赤や青、黄色や橙、緑に紫。
あらゆる色がゆるやかに移り変わるのが分かる。
そんな景色をぼーっと眺め、上に行くにつれ、俺達は無口になっていった。
たぶん、みんな同じ事を考えている。
夢のようなこの世界、山とのギャップがありすぎる。
楽しんではいけない。
楽しいと感じたら、いつしかそれに慣れてしまったら、万が一、罪の意識が薄くなってしまったら……それがとっても怖かった。
黄泉の国に来て本当に良かったのかな。
でも決めたんだ、俺達はこれから特殊部隊に入る。
それで……今までの罪を、悔いる気持ちを、この魂を、これからは誰かを助ける為に使う、そう決めたからここにいる。
気を……引き締めないとだな。
チン、
キレイな音がした。
同時、エレベーターの扉が開く。
目の前には長い廊下、その先には分厚そうな茶色い扉があった。
『よーし、これから入国手続きすんぞー。このフロアーは特別ルートで入国が許された霊専用の受付だ。一般の死者は1階から10階の総合窓口で受け付けるんだがな、お前らはコッチだよ』
それって……ああ、そうか。
俺達が元悪霊だからって事だよな。
本当なら地獄送り、【闇の道】に乗るべきだった。
ボスの後ろを歩く俺達は、ますます無口になったんだ。
それを気にする様子もないボスは『あ、そうそう、』そう呟いて、俺達に振り返った。
『この時間、アタシらの他に誰もいねぇからよ。気楽に手続きすりゃあいい。受付の担当者も地球人、しかも日本人だ。怖がるこたぁ何もねぇよ』
日本の霊が手続きしてくれるのか……俺はちょっとホッとした。
誰にしてもらっても良いんだけど、さっきのカンガル族の例がある。
文化の違い、そのせいで知らずに失礼な事をしたら大変だからな。
長い廊下も突き当り、ボスは乱暴にノックをすると『入るぞー!』とドアを開けた。
中は____
すごく広い部屋だった。
何畳あるんだろ、いや、何畳なんてモンじゃない。
部屋は野球場くらいの広さがあった。
天井もうんと高くて、これきっと、霊体の大きな霊でも入れるようにしてるんだろうな。
ただ何もない。
テーブルも椅子も、なんにもだ。
そのだだっ広い空間に、1人の女の霊が立っていて、ボスを視ると大きな声で言ったんだ。
『朋美ーっ! ひっさしぶりだなぁ! 元気だったか? って、ユーレーじゃあ風邪すら引かないけどなっ! あはははは!』
わ……なんか、すっごく元気な霊だ。
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