2366人が本棚に入れています
本棚に追加
『誰にも時間は戻せない。犯した罪は決して消えない。だから抱えて生きるしかない、って死んでるけど。……そう、私らは死んでるんだよね。命は有限、魂はほぼ無限。滅されない限り、魂は存在し続けるんだ。アンタらさ、気が遠くなるよな時間、ずーーーーっと俯いてるの? 楽しい事、嬉しい事、朋美の優しさ、そういうの避け続けるの? それって楽しい? ああ、分かってる。楽しんじゃイケナイって思ってるんだよな。でもさ、それじゃあ続かないよ? 俯いてられるのはせいぜい最初の百年だ。それ以降は辛くなる。疲れ果てて何もかもが嫌になる。そういう奴は大抵自分で自分を滅するんだ』
ぐっさんはチョコをポイポイ口に放り、目を真っ赤にさせている。
鼻をズルズルすすりながら、それでも力強く声を上げた。
『そんなの間違ってる、罪を悔いて償うなら途中で投げ出すな! 責任持って永遠に償え! 出来る事を挫けないでし続ける、その為には自分を大事にしないと駄目なんだ。少しくらい楽しい時間があってもいいじゃない、朋美の、誰かの優しさをありがたく受け取ったっていいじゃない。そうじゃなければ、自分を追い詰めるほど罪を悔いてるアンタ達がかわいそうだ……! …………ああムカつく! うまく言えない! わぁぁぁぁん!』
最後はわんわん泣き出して、ボスはそんなぐっさんをギュウっと強く抱きしめた。
俺達は……どうしていいか分からずにいた。
だけどさ、今目の前でぐっさんが泣いている。
しゃくりあげて、悲しそうに涙を流している。
これは……俺達のせい……なのか?
俺達が泣かした……?
それとも……俺達の為に泣いてくれてるのか……?
ボスはぐっさんを抱きしめながら、静かに話しだした。
『ぐっさんの旦那も元悪霊だからな。重なっちゃったんだろうよ。あのな、お前らの気持ちも分かる。悔いてるんだよな。だからこそ自分に厳しくしようとするんだよな。でもよ、ぐっさんの言う通りだ。今のままじゃ、せいぜい持って百年だ。それでいいのか? 百年きっちり働いて、その間ずっと俯いて、ボロボロになって嫌になって自分で自分を滅するのか? そうなったらよ、エイミーが泣くぜ? それでいいのか?』
岡村が泣く……?
それは嫌だ……!
想像だけで辛くなる、岡村を悲しませるなんてしたくない。
俺達の罪悪感は、俺達だけの問題じゃあないのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!