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『バラカス!』
巨大なパンダにボスが大きく手を振った。
パンダも『キュゥン!』と返事を返す(パンダの鳴き声初めて聞いた)。
という事は知り合いなのか。
ボスとパンダはなにやら話をしてるんだけど、パンダは ”キュゥキュゥ” しか言わないし、話の内容は分からない、でも可愛い。
『ああそうだ。コイツらアタシの部下なんだ』
『キュゥン? キュ! キューン?』
『もちろん! ハンパねぇ強者共だ。視てなバラカス、コイツらは化けるぜ?
アタシら部隊がエースになるのに2年もかからねぇよ』
『キュキュキュキュ……キュルン!』
『ガハハハハ! もう知ってるのか! そうだ、アンタと一緒だよ。だが今は違う。それもアンタと一緒だ』
さ、さっぱり分からない。
パンダは何を話しているんだろ?
ボスは分かるみたいだけど、よく”キュゥキュゥ”だけで通じるな。
『近いうちにコイツら連れて挨拶に行くからさ。あ、どうせならマジョリカがいる時がいいな。久しぶりに飲みてぇし。んあ? そりゃそうだ! オッサンの顔視ながら飲む酒より、カワイイ子視ながらの方がウマイに決まってるだろ。当たり前のコト聞くなよな、これだから素人は。あはは、うん、ありがとう。コイツらに色々教えてやってくれ。男同士、仲良くしてやってくれ』
あ……また……まただ。
俺らと仲良くしてくれって、パンダにも言っている。
まさかボスは、これから会う霊、会う霊、みんなに俺らの事を言うのかな。
……
…………全然違う、
そんなのは分かっているけど、それにしたってボスと長は全然違う。
ボスは俺らを”駒”扱いしない。
大事にしてくれる、こんな俺らをだ。
岡村が悲しむの、絶対ヤダ。
瀬山さんも持丸さんも猫も、それからボスが悲しむのも……ヤダな。
俺達は元悪霊で、過去の罪を決して忘れてはいけない。
だから、すぐには変われないかもしれない。
また後ろ向きな事を考えるかもしれない。
だけど、それを心配してくれる霊がいる、それを悲しんでくれる霊がいる。
そういう霊は大事にしたいよ。
『あのさ、中村さん、みんなも、……今日さ、やっぱり親睦会やってもらおうよ、』
思いきってみんなに聞くと、同じ事を思っていたのか次々頷いてくれたんだ。
うん、そうだよ。
罪は絶対忘れない、だけど大事な人を大事にしたい。
その為の最初の一歩、小さな一歩。
『ボス! 俺達やっぱり親睦会してほしい!』
なんだかすごく恥ずかしい。
だけど大きな声で言ってみた。
俺らのボスはガハハと笑って、
『おう!!』
力強く答えてくれたんだ。
ああ、やっぱり嬉しいなぁ……
嬉しい……そう思っても、いいんだよな?
これから少しずつ、時間をかけて変わっていけたら、
‘’元瀬山の霊媒師‘’じゃなくて、
あたらしく、
そう____
俺達は、バッドアップル。
今日から始まる。
このさき百年、いやもっと、ずっと、このボスと共に歩んでく。
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