第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『バラカス!』 俺に気付いた朋美が手を振る、『おぅ』と返せば大股でやって来る。 『入国手続きか?』 すっとぼけて聞いてみれば、”待ってました”と言わんばかりに食い付いて、 『ああそうだ。コイツらアタシの部下なんだ』 答えた朋美は鼻息が荒かった。 朋美(コレ)は分かりやすい、感情がすぐ顔に出る。 嬉しい時はなおさらだ。 『コイツら全員? ケケケ! 大量雇用だな。で、使えるヤツらなのか?』 野郎共は元悪霊、というのは知らない振りのが良いだろうと、ワザとらしくも聞いてみる。 『もちろん! ハンパねぇ強者共だ。視てなバラカス、コイツらは化けるぜ?   アタシら部隊がエースになるのに2年もかからねぇよ』 『2年たぁ大きく出たな。ま、悪霊やってたくらいだ、霊力(ちから)はあるんだろうけどよ……あ、やべぇ!』 しまった、知らない振りをしてたのにウッカリ口が滑っちまった。 情報部にハックしたのがバレちまう……! なーんてな。 バレたらバレたでその時はその時だ。 脆弱性ガー! とか言いながら逆ギレしとけばなんとかなるだろ。 ま、とは言え相手は朋美、 『ガハハハハ! もう知ってるのか! そうだ、アンタと一緒だよ。だが今は違う。それもアンタと一緒だ』 やっぱりな。 なんで俺が知ってるか、理由なんざどうだっていいらしい。 今の朋美の一番の関心は、元悪霊の部下達に向いてるようで、 『近いうちにコイツら連れて挨拶に行くからさ。あ、どうせならマジョリカがいる時がいいな。久しぶりに飲みてぇし。んあ? そりゃそうだ! オッサンの顔視ながら飲む酒より、カワイイ子視ながらの方がウマイに決まってるだろ。当たり前のコト聞くなよな、これだから素人は。あはは、うん、ありがとう。コイツらに色々教えてやってくれ。男同士、仲良くしてやってくれ』 そう言って、俺に頭を下げやがるんだ。 まったくよ、おまえはヤツらの母親か? ウチの子供達をよろしくお願いします! ほとんどそんなノリだ。 まぁ、いいさ。 朋美が言うなら仲良くしてやる、心配すんな。 それによ、ケケケ! こういうのは懐かしい。 ____バラカスと仲良くしてあげて、 ____悪かったのは昔の話で今は違う、 ____口は悪いけど、本当はとっても優しいの、 ____私はバラカスが好きよ、 ____ねぇ、私と友達になってくれる? まるで昔の白雪みてぇだ。
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