第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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本当はな、霊体(からだ)の再構築を個パン(個人)でするのは禁止なんだがよ。 そんなこたぁ知ったこっちゃねぇ。 本来再構築は黄泉の国が定めた機関で行う。 正規のルートは機関に出向き、やれ申し込みだ、やれカウンセリングだ、やれ仮構築だ、やれなんちゃらだと、急がせたって1か月はかかる。 モノの構築とは事情が違う、霊体(からだ)の再構築は事故があってからでは遅い……てなコトで、黄泉の国のオエライさんが、個パン(個人)での再構築を禁止にしてるんだ。 事故防止の為だとは言うけどよ、そんなに待ってられるかって話だ。 俺は、今、すぐ、変わりたいんだからよ。 『さっそく街に繰り出すか、って…………何か大事な事を忘れているような……パンッ! 危ねぇ危ねぇ! ウッカリこのまま行くトコだった! 服を着なくちゃな。いくら黄泉でも真っ裸(マッパ)は捕まる』 まったくよ、ヒト族ってのは不便だぜ。 霊体(からだ)に毛がないから、イチイチ服を着なくちゃならん。 パチンと指をひと鳴らし。 構築したのは飾り気のない白いシャツに黒のパンツ。 なんたって俺はパンダだからな。 この色の組み合わせがしっくりくる。 よし、準備は出来た。 今度こそGotoミシレイニアスだ。 …… ………… ……………… 街は今日も大賑わいだ。 右も左も前も後ろもついでに空も、いろんな霊達(やつら)で溢れてる。 まっすぐ歩くのもままならん。 だが良い、気は楽だ。 ヒト族に化けた俺を気に留める(やつ)なんざ、1人もいねぇからな。
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