第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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たまに、そうごくたまに。 俺はヒトの姿で外を歩く。 囲まれず、騒がれず、イチパンでゆっくりしたい時に化けるんだ。 このコトはマジョリカも白雪も朋美も知らねぇ。 ____どうして内緒なの? 教えてあげたらいいのに。 唯一この事を知ってる(やつ)。 再構築を教えてくれた張本人、瀬山の小僧はキョトンなツラでこう聞いたんだ。 どうしてかって? 小僧は何にも分かっちゃいねぇ。 男ってのは秘密の一つや二つを持ってるくらいが良いんだよ。 その方がミステリアスな雰囲気が出るだろうが。 ただでさえ、黄泉での俺は不本意ながら”カワイイキャラ”にされちまってるからな。 本来ならば、”激ワルで強面なP・A(ピー・エー)バラカス”、生きていれば302才だってのによ。 はー、しっかしノンビリ出来るぜー。 ヒト族に化けたのもあるけどよ、これがもしマジョリカと一緒だとこうはいかねぇ。 アイツは街にある店、端から端まで全部視るんだ。 しかも、何度も何度も行ったり来たりで何往復もするからな。 付き合う方は大変だ。 俺は大抵途中で休む、待ってるから視て来いと1人で行かせる。 マジョリカ(あれ)に喜んで付き合うのは、黄泉と現世を合わせてもジャッキーくらいなモンだろう。 ケケケ!★ 思い出して笑いつつ、街をブラブラ歩いていると、遠くからヘンな声が聞こえてきた。 なんだ? 大勢の野郎の声だ。 ”オィオィ”言ってる、いやこれは叫んでるってレベルだな。 何があった? 事件ですか? 事故ですか?  なんてな、黄泉は平和で犯罪は起こらねぇ。 じゃあ何だ?  声は劇場の方から聞こえてくる。 よく分からねぇけどオモシロそうだ……よし、行ってみるか。 ★8年前、黄泉の国に来たジャッキーがマジョリカの買い物に喜んで付き合ってるシーンがココです。 https://estar.jp/novels/24474083/viewer?page=631&preview=1
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