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ピンクバンダーとムーンラビットがハイすぎる。
そんなに騒ぐコトか?
俺にしてみりゃそんなモンは朝笹前だ。
だってよ、ライブ前にコールを聞いたじゃねぇか。
いいか、舐めるな。
バンブー星のパンダ族は一度でも視聞きした情報は決して忘れねぇ。
広い宇宙の数多の星の特徴、文化、言語(方言やスラング含む)も網羅してるし、複雑なプログラミングも、些細な霊とのやり取りも、生まれて死ぬまで、死んでから今日まで、すべての記憶が頭の中に詰まってる。
この能力のおかげで俺は地獄送りを免れた。
コールを覚えるくらいなんてコトはねぇんだよ____とは、言えねぇわな。
せっかくヒトの姿に化けてるんだ。
身バレは避けてぇ。
『……そうか? まわりに合わせてただけだ』
無難に答えて煙に巻く作戦だ。
オタ集団はまんまと巻かれて、それ以上は突っ込まない。
よし、いいぞと思っていたら、ピンクバンダーが面倒な事を言い出した。
『さすがはジャッキー氏のフレンドですな……初ライブと初コールをあそこまでこなすとは。いやはや脱帽、イケル口ではござらんか。うむっ、吾輩決めたでありますよ。某、我らオタ集団に入るがよろし』
『パンッ!? い、いや、俺はいいよ、』
『遠慮してるでありますか? 視たところ某、まだ黄泉に来て日が浅いのではござらんか? ライブもボッチで来ているし。なに、吾輩達も少し前に来たばかり。これもジャッキー氏が繋いでくれた縁であります。趣味も合うし仲間になろうぞ!』
『いや待て、仲間って、いや、なんつーかな、そうじゃねぇ。それに黄泉歴浅くねぇわ、コッチに来てから100年以上経ってるし……あぁ、なんでもねぇ、コッチの話。と、とにかくそれは遠慮しとくわ! 気持ちだけありがとよ! じゃあ俺、このあと用事があるから、またいつかな!』
雲行きが怪しくなって、俺にしては珍しく、しどろもどろで走って逃げた。
背中からオタ集団の叫ぶ声が聞こえてくる。
『来週もライブがありますぞー! 我々、某を待ってるんだからぁぁぁ!』
待つな、お前らだけでエンジョイしてくれ。
街に向かって走りに走るが、この霊体じゃ走りにくいのなんのって。
そんなコトに気を取られ、気付けば霊とぶつかった。
ドンッ!
『ああ、悪い! 今のは俺がヨソ視をしてた、』
慌てて謝り、ぶつかった相手を視れば、それは良く知る白雪だった。
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