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けっこうな勢いでぶつかった。
だが白雪は倒れるどころか、よろけもしねぇでシッカリと立っている。
さすがだな、鍛え方が違う。
『私こそゴメンナサイ! 痛くなかったですか?』
慌てた顔で俺を視る白雪は…………今日も綺麗じゃねぇか、
滑らかな琥珀の肌、ブラックダイヤの輝く瞳、オニキスの短い髪に、ルビーの唇、そして鍛え抜かれた霊体は芸術家が手掛けた鎧のようで…………目が奪われる、
『あの、大丈夫ですか……?』
ああ……いかん、なにか言わねぇとオカシなヤツだと思われる、
言え、言うんだ、『大丈夫、心配ない』たったコレだけ言えばいい、
言ったらあとはさりげなく、ココから去ってオシマイだ、
白雪はヒトの姿の俺に気付いちゃいねぇ、
バレたらきっとうるさく言われる、
許可無しの再構築に怒り狂うに決まってる、
身バレは避けてぇ、絶対避けてぇ、
なのに、なんだって動けねぇ、なんで…………ああ、わかった、
『本当に大丈夫?』
いつもより近いんだ、
パンダの俺なら面と向かって目が合ったって、身長差で十数メートル離れてる、
だが今の俺はヒトの姿で、身長は縮みまくって2メートルだ、
ちょうど白雪と同じくらい、
こんなに近くで目が合うのは初めてだから、それで、俺は、ガラにもなく動揺して____
『あんまり……大丈夫じゃなさそうね、ちょっと失礼…………やだ! あなた霊体が熱いじゃない! これは大変だわ……黄泉の国で体調不良はあり得ない。なのに熱があるなんて、霊体のどこかにバグが出た証拠だわ……!』
あ、ヤベェ。
黙ったまんまで不審に思った白雪が、俺の額に手をあててオーバーヒートに気付きやがった……が、大丈夫だ、心配ねぇ。
これは一時の熱暴走でバグとかそんなじゃねぇからよ。
『待て、心配すんな。これは感情の昂りの影響で、』
なんで昂ったかは聞くんじゃねぇぞ、なんて思いつつ、落ち着くように言おうとしたのに遅かった。
『再び失礼! ふんぬぅぅぅぅぅっ!!!』
白雪は腰を落として俺の霊体に手を回し、そのまま肩に担ぎやがった!
ばっ! おまえ! 何する気だ!
『やっぱり熱いわ……でも大丈夫、すぐに緊急医療機関へ連れてきますから! 私は白雪、【光道開通部】の長で怪しい霊ではありません!』
『ま、待て! 俺はなんともねぇ! 心配すんな!』
冗談じゃねぇ!
そんなトコに連れてかれたら再構築がバレちまう!
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