第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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なんだよなんだよ、平和そうなツラしやがって。 こちとら色んな意味でピンチだってのによ。 白雪が5分ヨソ視をしてくれるんなら、イルカに化けて逃亡してぇ。 『さぁ、約束よ。発熱の理由を教えてちょうだい。ああ、その前に、あなたの名前は?』 俺の真正面。 真っすぐにコッチを視る目は、俺の目線と高さが同じで動揺する……が、動揺の理由はそれだけじゃねぇ。 名前を教えろって? 言える訳がねぇだろ。 ヤベェ、なんて答えりゃいいんだ? なんでもいい、なにか名前を、名前、俺の名前…………パンッ! そうだ! 『……ガシ……』 『え? ごめんなさい、聞こえなかったからもう一度教えてくれる?』 『ソレガシーだ、』 ____来週もライブがありますぞー!  ____我々、(それがし)を待ってるんだからぁぁぁ! パンッ! と閃いた、つーか思い出した。 さっきのオタ集団は俺を”(それがし)”と呼んでいたじゃねぇか。 もういいや、いいだろ、今だけ俺は”ソレガシー”だ。 なんだったらよりオタクっぽく、”ソレガ氏”でもいいけどな。 『ソレガシーさんとおっしゃるんですね。お名前、教えてくださってありがとうございます。ではソレガシーさん、発熱の理由は?』 ____オッオー! オッオー! オィオィオィオィ!   ____ラブリー! エアリー! ミルキー! A・G・L!!  ”(それがし)”を思い出すと、それとセットにオタコールも思い出す。 ちょうど良いじゃねぇか。 『理由はライブだ。ついさっきまで、ミシレイニアスにある劇場でアイドルのライブを視に行ってたんだ。デジタル星の美少女3人組みでグループ名は【A・G・L】。歌って踊ってコールして2時間半。そりゃあ熱くもなる。発熱はそのせいだ』 うん、中々良い言い訳だ。 ライブ帰りなら興奮が冷めなくて、熱くたって何ら不思議ではない。
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