第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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ジュゥゥゥゥゥッッ!!! 【闇の道】に白雪の軍ブーツが接地した、と同時、あっという間に焼け溶けて、剥き出しになった白雪の足も焼いた。 『ぐぁぁあああぁぁぁああ!! ……ッ!! ぐっ……! ぐっ……ぐっ……ふんぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!』 額からこめかみから首から肩から腕から、要は霊体(からだ)全体から汗を噴き出す白雪は、それでも俺に向かってニコリと笑う。 『お……おい……小娘……なにやってんだよ……』 『…………ッ、……な、なにって……バラカスさんの足を道から剥がそうと思って、』 『…………ああ!? ……あ、ああ、そうかよ、でもよ、おまえの足、焼けてるぞ……? 溶けた肉が道に癒着してるじゃねぇか……それよ、痛くねぇのか……?』 もちろん、痛そうだとは思ったさ。 けどよ、白雪は黄泉の国の一味だろ? なにか策をしてると思ったんだ。 まさか、策もなく丸腰で、苦痛を承知で道に乗るなんて誰が想像出来る。 間抜けなツラで聞いた俺に白雪は呆れた顔を向けた。 『やだ、バンブー星のパンダ族は優秀な方が多いと聞いていたのに。もしかして……バラカスさんはそうでもないんですか? なんて、ごめんなさい。だってヘンなコトを聞くんだもの。痛くないのかって? あなただって痛いでしょう? 私もおんなじです』 『……だよな、おい……おい……小娘……なにやってんだよ……』 驚きすぎた俺は2度も同じ事を聞いていた。 白雪はさらに呆れ顔、だがプッと小さく笑って言ったんだ。 『えぇ? だからさっきも言ったでしょう? 私はバラカスさんの足を道から剥がそうとですね、それでこうして……(バリッ!)あっ! 剥がれた! 大丈夫ですか? 痛かったですよね、ごめんなさい! あとで治療しますからね。あなたには許可証がある、闇の触手は追って来ないわ。さ、このまま道の横に移動してください』
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