第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

35/285

2365人が本棚に入れています
本棚に追加
/2550ページ
…… ………… ……………… そう、伝わった試しがねぇ。 この100年、ただの一度もだ。 だが、だがよ、白雪が俺をどう思っているのか、それを確かめるチャンスが突然降ってきたんだ。 ____好きな人が好きな話を私にしてくれると嬉しい、 =(イコール) ____俺の話を聞いて嬉しいと思ったコトがあれば俺のコトが好き、 要はそういうコトだろう? よ、よし……聞くか。 こりゃあもう聞くしかねぇだろ。 こんな質問、パンダの姿じゃ絶対に聞けねぇが、幸い今はヒトの姿で正体はバレてねぇ。 この状況を利用しない手はない。 パン? 白雪を騙すのか? ……ってよ、あれだけ鈍感な女はそうはいねぇ。 確かに今まで、ハッキリ好きとは言ってねぇよ。 けどよ、ほぼほぼ好きだと匂わせたトコは数えきれねぇ程あるんだ。 そのせいで白雪以外の全員が俺の気持ちを知っている。 いまだ知らぬは本人だけだ。 もう、なりふりなんて構ってられねぇ。 『あ、あのよ、』 声を掛ける、その声が裏返る。 なんにも知らねぇ白雪は、『なんですか?』と俺を視る。 ガラにも無く緊張してくる。 『いや、その、なんだ。あー、うん、そう、アレだ。白雪は……バラカスって男を知ってるか?』 思い切って名前を出した。 出さないコトには始まらねぇし。 『バラカスって……パンダの? 知ってるわ!』 ま、そう答えるわな、俺達の付き合いは(なげ)えから。 『仲、良いのか?』 『ええ、とっても!』 『ほぉ……そうか、とってもか』 な、なんだよ、好感触だな。 まぁ、たまに喧嘩はするけどよ、確かに俺達は仲が良い。 思わず顔がニヤけちまうが、それをグッと引き締めた。
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2365人が本棚に入れています
本棚に追加