2364人が本棚に入れています
本棚に追加
/2550ページ
白雪はそんな俺をまじまじと視る。
首を傾げ、何かを考え込むように。
な、なんだよ、なんか言いたいコトでもあるのか?
同じ目線の真正面、白雪は怪訝な目を向けこう言った。
『そういえば…………ソレガシーさんって、なんだかバラカスに似てるわね。ああ、視た目じゃなくて、喋り方とか雰囲気よ。パンダとヒト、全然違うのになんでかしら……? ……ちょっと顔をよく視せて、』
ぐっ……!
ヤ、ヤベェ、視た目が全然違うからって油断してた!
白雪の呼び方も喋り方も、いつもの俺のまんまじゃねぇか!
このままじゃあバレる!
正体も、再構築をしたコトも……!
急いでごまかさねぇと……!
『…………そ、そうか? い、いや……その……その……
そ、そうでありますか!? 吾輩、白雪女史を前にいささか緊張していたのであります! 何を隠そう、吾輩はガッチガチのオタ! 【光道開通部】の長の前でオタク全開なトークはいかがなモノかと自粛しておりましたぁぁぁ! がぁ! しかぁし! 吾輩がいらぬ気を回したばかりに、リア獣さまと似てるなど恐れ多おございまするぅぅぅ! というコトで……コホン、これより先は普段通り喋らせて頂くのでありますっ!』
シャキーーン!!
独特な動きと無駄な機敏さ、これでもかという滑舌の良さ、そして早口。
一人称は”吾輩”と”小生”で迷ったが、”吾輩”を選択。
いいか、舐めるな。
バンブー星のパンダ族は一度でも視聞きした情報は決して忘れねぇ。
【A・G・L】のライブの間、ずっとオタ集団と一緒にいたんだ。
アイツらの話し方、仕草、表情、思考&行動パターン、すべて覚えている。
少し……いや、かなり照れるが、これで隠し通せるはずだ。
俺の豹変に、白雪はポカンと口を開けて黙っていた。
無理もねぇ。
俺らのまわりにいないタイプだ(ジャッキーは中身はオタだが表面には出さねぇし)、圧倒されたんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!