第六章 霊媒師OJT-2

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お父さんは言いながら腰を落とし、拳を握るとファイティングポーズをとった。 唸りを上げていたチェーンソーはいつのまに消え……どこにしまったのかは聞くだけヤボというものだろう。 社長は首をコキコキと鳴らしながらジャケットを脱ぐと、振り向かないまま僕へ手渡した。 『なんだ、若僧。上着なんぞ脱いで。立派な背広が汚れるのはそんなにいやか?』 「うっせーな」 『あぁ? なんだと?』 「うるせぇって言ったんだよ。まったく年寄りの話はなげぇ。聞いてて飽き飽きしてくるぜ。話は単純だろ? 俺は爺さんにエイミーを渡さない。だから拳で話をつける、そんだけだ」 『生意気な小僧よ、』 お父さんが地を蹴り、一瞬で間合いを詰めた。 そして振り上げた両腕を社長の脳天目掛けて振り落す。 社長の上半身が後ろに大きく反れた。 刹那、お父さんの固く握られた両手は社長の鼻先をかすめる。 ブンッ 古いパソコンの電源ボタンを押した時、こんな感じの発振音が聞こえる事がある。 なんの音だろうとまわりをみても、各当するような機器は見当たらない。 そりゃあそうか、なんたってここは外だ。 外でネットを繋ぎたければスマホかタブレットが妥当だろうけど、最近の端末は電源を入れた時にそんな渋い音は出ない。 気のせいかな……なんて思っていると、 ブンッ、ブンッ、 やっぱり起動音が聞こえる。 この音は一体どこから……? いやまて、その前に、なんか社長、光ってない? いや、頭はいつだって光ってるけど、そうじゃなくて、両手と右足がオーラみたいに光を発してる、なんで? どうして光ってんの?
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