第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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____まったく問題ありませんぞ!  俺の言葉に不安顔は一変、白雪は満面の笑みになる。 『……そっかぁ! ソレガシーさんは大丈夫なのね、ホッとしたわ。私はてっきり、またバラカスがトラブル起こしたんじゃないかと心配だったの。良かった、安心しちゃった。……という事は、ソレガシーさんはバラカスのお友達なのかしら、だとしたらありがとう。バラカス、口は悪いけど優しいのよ。分かってくれる人がいて嬉しいわ』 白く光るスティックライトを両手で握り、ソレガシー(おれ)の顔をふわっと視つめる、その表情に霊体(からだ)が固まる、心臓が絞られる。 やっぱり……綺麗だな。 色っぽさはねぇけどよ、俺には無い純粋さ、俺を気遣う優しさ、笑顔、強さ、慈悲深さ、そういうのが眩しくて、いや、眩しすぎて、好きだ、俺を視てくれ、俺の気持ちに気付いてくれ、俺だけを視てくれ、白雪のたくさんいる友達(ダチ)のひとりじゃなく、俺を好きになってくれ……ってよ、 この100年、ずっとそう願ってきた、……が、この100年、俺達の関係は ”親友” でガッチリ固定されたままだ。 俺はよ、本当はよ、親友なんて思ってねぇよ、お前はどうなんだ? 『白雪女史、』 気持ちが知りてぇ、その一心で愛しい女の名を呼んだ、呼んだ、呼んでみた、とりあえず……呼んだ。 ヤベェ、このあとなんて切り出したらいいんだ? 白雪は『はい、』なんてニコニコしながら、俺が話すのを待っている。 深い瞳にサイリウムの白い光が映り込み、(うえ)の星よりキラキラだ。 クソ……! なんだこりゃ! 綺麗だな! 可愛いな! 照れるな!   ヒト型は危険だ……距離が近くて瞳の中まで視えちまう。 心臓はギュウギュウに絞られて冷静なんかじゃいられねぇ。 汗が出る、霊体(からだ)が熱くなってる。 質問はさり気なくを第一に、……そう思ってたのによ、動揺した俺の口から出た言葉は ”さり気なく” とは遠いものだった。 『し、白雪女史ぃ(声裏返る)! 女史はその、す、す、好きなパンダはいるでありますか!?』 パンーーーーーーーーーーッ!! これは駄目だーーーーーーッ!! ”バラカスのコト”で話があるって言ったじゃねぇか! なのにバカラス関係ねぇ! 白雪に好きな奴がいるのかどうかを聞いちまった!(もちろん知りてぇが) しかもだ! ”好きなヒト”じゃなく、”好きなパンダ”って聞いちまったんだーーーーーッ! 人族じゃねぇ、ウサギ族でもねぇ、ドラゴン族でもイルカ族でもねぇ! よりによってパンダ族限定だ!
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