第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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やっちまった痛恨のミス。 汗が噴き出し、顔が真っ赤になるのが分かる。 ヒト型は実に不便だ。 感情が、動揺が、気持ちが、みんな表に出ちまうからな。 こんな質問不自然すぎる。 もしやバレたかと気を揉んだが、鈍感な白雪はなにも気付いちゃいなかった。 ただただ素直に、 『好きなパンダ? いるわ、バラカスよ!』 と即答した。 その瞬間、俺の心臓はこれでもかと絞られて、口から飛び出しそうになったんだ。 ガラにもなくトキメいた。 100年の片想いも今夜で終わりかと泣きそうになった。 今言ったのは本当か? 白雪も俺が好きなのか? …… …………いや、待て、 話がうますぎる。 なんか(ちげ)ぇな。 白雪は子供みてぇな無邪気な顔で、恋する女の顔じゃねぇ。 表情も、声のトーンも、雰囲気も、 お父さんが好き! お兄ちゃんが好き! 弟が好き!  これに(ちけ)ぇ。 試しに、 『好きな人は?』→マジョリカ! 『好きなウサギは?』→ヤマちゃん! 『好きなドラゴンは?』→アンヘル! こう聞いてから、もう一度、 『好きなパンダは?』 『バラカス!』 …… ………… ………………むぅ…… よし、質問の仕方を変えようか。
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