第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『し、白雪女史、今のはいささか質問の仕方が悪かったのであります』 予期せぬエラー。 白雪の綺麗さに動揺し、三段飛ばしで ”好きなパンダはいるのか” と聞いちまった。 それに対して白雪(こいつ)の答えは間違っちゃいねぇがよ、俺が知りたいのはそうじゃねぇ。 『そうなの? 好きな友達の話じゃないの?』 『ちょ、ちょっと違うであります。その、あの、友達じゃなくて、女史の中で一番の推しと言いますか、』 『推し?』 『そう、推しであります。推しというのは、その、特別……と言いましょうか、あの、その、と、”特別に好き” という意味でして……把握? そういうヒトはいないのかなと、』 『あぁ! 分かった、そういう意味だったのね! ん……でもな、それを言うなら私にとってバラカスもマジョリカもみんな推しだわ。特別に好きなのよ』 選べない、答えた白雪は困り顔だ。 『みんな……で、ありますか……白雪女史の中でその ”特別” に順位はないのでしょうか。特別の中の特別……そんなヒトはいないのでありましょうか』 『スペシャル イン スペシャルか……ん、そうね、そういう人はいるわ。それはやっぱり私の母よ。彼女は優しくてユーモアがあって、そして努力家なの。尊敬してる、とってもね』 むぅ……ここで母親(ババア)か……! 俺の頭には、白衣を翻し高飛車に勝ち誇るいけ好かねぇ顔が浮かんだ。 アイツはいつだって白雪の心を掴んでやがる。 俺の気持ちも知っていて、 ____オーホッホッホッホ! ____バラカス、あんた白雪のコトがずっと好きよね! ____でも残念、あの子は私のコトが一番好きなの! ____私には永遠に勝てなくてよ! ____悔しい? 悔しい? 最高に気分が良いわぁ! 会えば必ず、こう言ってバカにするんだ! 心底悔しいが、ある意味、あの母親(ババア)には勝てる気がしねぇ。 ま、つーかそもそも土俵が(ちげ)えけどな。
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