第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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パン……言っちまった……! これでもう後には引けねぇ! でもいいさ、今夜は引く気はねぇからよ。 ”バラカスに好きな人がいる”、これを聞いた白雪は目を大きく見開くと、素っ頓狂な声を上げた。 『えぇ!? そうなの!? 知らないわ! だってバラカスが恋をしてるだなんて、そんな話は聞いた事がないもの!』 いや……それに近いコトは言ってるぞ? けっこう何度も、お前が好きだと大事だと。 ____何度も言ってるが危険な場所に行く時は俺に言え! ____全部かわりに俺が行く! ____お前がいなけりゃ黄泉になんざ来なかった、 ____白雪のいる所が俺の居場所だ、 ____誰に何を言われても嫌なモノは嫌なんだよ! ____でもよ、お前が言うなら何だってしてやるさ、 こういうのが100年分、まわりはどんどん気付いてく。 お前だけだ、分かってないのは。 『バラカス氏に好きな人がいるというのは本当であります。ただ……お相手の女性はものすごく鈍感でして……確かにバラカス氏はハッキリと想いを伝えたコトはありませぬ。ですがほぼほぼそれに近いコトは何度も言ってるのでありますよ。なのに彼女にはまったく伝わりません』 言っててため息が出ちまった。 この100年の空振りが、走馬灯のように蘇る(もう死んでるが)。 何を言っても伝わらない、白雪の受け止め方は斜め上すぎるんだ。 当の本人。 分かっちゃいねぇ白雪は、しばし黙り、しばし考え、俺と同じくため息をついた。 そして、 『そうなの……相手の方は鈍感なのね、……バラカス、頑張っても気持ちが伝わらないだなんて可哀そうだわ……』 と俯いて、もう一度深いため息をついたんだ。 そうか、可哀そうと思ってくれるか。 やっぱり優しい女だわ。 …… ………… でもよ、これぜんぶお前のせいだけどな。
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