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白雪は眉毛を下げて笑ってる。
言ってきたさ、この100年何度も何度も。
だけどよ、伝え方が悪かった。
俺の勇気も足りなくて、直球を投げる事が出来なかったんだ。
『白雪、』
パンダとヒト、身長差が二人の距離を遠くする。
さっきみてぇに近くがいいや、近くで目を視て、それで。
俺はドカッと地面に座った。
白雪は立ったままで、これで少しは近くなる。
深い瞳に映り込むのはパンダのバラカスだ。
『白雪、』
『なぁに?』
『白雪……』
『ん、なぁに?』
『……白雪、』
『ぷっ! んも、だからなぁに?』
しつこい俺に白雪は吹き出した。
その顔に俺もつられて笑ってしまう。
二人して笑い合って……そしたらよ、緊張が、少し溶けたんだ。
____私なら言葉を飾らず、
____ストレートに『好き』って言われたいわ、
白雪は急かしもしないで話の続きを待っている。
俺は息を大きく吸い込んで、それをゆっくり吐き出した。
『白雪、』
『なぁに?』
飾る言葉も遠回しな言葉も必要ない、
必要なのはたったの一言、
『おまえが好きだ』
____え、
聞こえたのは白雪の短い声、それと星が流れる微かな音だけ。
二人の間に沈黙が流れた。
天を視れば数えきれない星たちが、斜めに降る雨のように流れてる。
今にもここまで落ちてきそうだ。
その時、黄泉にしては珍しく、強い風が吹いたんだ。
風は白雪の短い髪をかき混ぜて、鋼の背中を優しく押した。
あ、と呟く愛しい女は、霊体を大きくよろめかせると俺の腹にぶつかった。
『ご、ごめん、』
慌てる白雪。
真っ赤な顔がぎこちなく上を向く。
その表情は驚きと戸惑いと、それから____
『驚かせて悪かった、……だが今言ったのは本当だ。俺はお前が好きなんだ。なぁ、白雪。俺の気持ち、これまでのコト、全部聞いてくれるか?』
向き合ったままそう聞くと、
声を出さない白雪は、かわりに何度も頷いた。
『そうか、ありがとう。あのな___』
俺の想いを伝えよう。
100年分じゃあ長くなるかもしれねぇが大丈夫だ。
きっと夜明けはまだ遠い。
天を視れば流れる星の数々が、
輝きながら斜めの雨を降らせているから。
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