第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ 『きゃーーーーーーーーーーーーーーっ!  それで!? それで、その後どうなったの!? 告白した後、白雪ちゃんはなんて答えたのーーーー!?』 マジョリカが放してくれねぇ。 さっきからずっとこの調子だ。 俺の肩によじ登り、耳元で大きな声を上げている、 …… ………… ……………… 少し前。 夜が明けて、大草原から戻ってくると、家の前にはマジョリカが座り込んでいた。 朝っぱらから何してるんだと不思議に思って声を掛けると、マジョリカは俺と、俺の隣にいる白雪を、何度も何度も交互に見比べて、そして固まった。 『なにフリーズしてんだよ。俺と白雪が一緒にいるなんざ、珍しくもなんともねぇだろ』 自然をつくろいそう聞けば、 『うーん、……ん、そうだよね、そうなんだけどさ。でもね、なんかいつもと違う気がして……』 そう言ってマジョリカは首を傾げた。 俺は内心ドキドキしてた。 マジかよ、女ってスゲェな(白雪は除外だが)。 観察力か察知力かは知らねぇが、誰かのよ、微々たる変化を見逃さねぇ。 はぁ、まったくな。 この能力がオフ日の白雪にもついてたら……って、今となっちゃどうでもいいや。 『白雪ちゃん、白雪ちゃん、ねぇってばぁ! んー、やっぱりヘンだ、いつもと違うよ。なにがあったの? ねぇねぇ、』 白雪に抱き着いて、子供みてぇにしつこいマジョリカ。 その白雪はしどろもどろになっている。 見かねた俺は助け船を出した。 『オイ、白雪。そろそろ仕事の時間だろ? そこの陣を使っていいから早く行け。マジョリカは俺に用事があるんじゃないのか? 朝っぱらから俺待ちだったんだからよ』 そう言うと白雪は『チコクチコク!』とワザとらしく独り言ち、早々に陣に立つと姿を消した。
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