第六章 霊媒師OJT-2

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「す、すごいです! 霊体のお父さんを完全に捉えてる! すごい! すごいですよ! 社長みたいに強くて霊体にも触れるんなら無敵じゃないですか! ”魂を纏う”ってすごく便利なんですね! あ……だけどその魂って……え……? そういえば社長……さっき死者の魂を薄切りにしてって言ってましたよね……?」 「あぁ、言った」 「それって、元々誰かの魂だったのを使っている、という事なんでしょうか?」 「ああ、そうだ」 「それは、その……昔生きていた方の魂で、今は亡くなっていて、それで、その方は、そんな事して成仏できるんでしょうか……?」 「できないよ。少しずつ削られて最後には無になるんだ。この魂の主は……そいつらは全部で3人、罪もない一般人何人も殺してきた凶悪犯達だ。最後は警察に射殺された、」 「もしかしてウチの会社に憑りついてた殺人犯3人……の、事ですか?」 「そうだ、俺はあいつらを成仏させて楽にしてやる気なんざ、まったくなかったからな。さっきエイミーには祓って滅したって言ったけど、正確には祓って俺の中に閉じ込めて、小出しに有効活用してる、だ。今俺が纏っているのもアイツらの一部って事。引いたか?」 驚かないと言えば嘘になる。 だけど当時ビルに憑りついた悪霊3人、祓うのに1カ月かかったと聞いている。 その間、彼らに反省の気持ちがあれば社長や先代の事だ、きっと成仏させていたに違いない。 それでも滅する事にしたという事は、凶悪犯3人は最後の最後まで人の心を取り戻さなかったのだろう……。 「……僕は、社長を信じます、だから引きません。でも大丈夫なんですか? そんな凶悪犯を社長の中に閉じ込めて、体調悪くなったりしないんですか?」 「あいつらより俺の方が強いからな、心も身体も。まったく問題ねぇよ」
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