第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ ~~ドロップと日本刀・マジョリカ視点~~ とうとう! とうとうバラカスが告白したんだ! どうしよう、ウチ、今すっごくドキドキしてる! バラカス、なんて言ったんだろ、白雪ちゃんはなんて答えたんだろ。 うまくいったのかな、うまくいってほしいな。 気になって仕方がない、どうなったのか教えてほしいよ。 白雪ちゃんは仕事で光道(こうどう)に行っちゃったけど、ここにはまだバラカスがいる。 ウチ、教えてくれるまで、ぜーーーったいに(ここ)を動かないんだからっ! 『バーラーカースー! 教えてったら、おーしーえーてー!』 バラカスはイジワルだ。 ウチがこんなに聞いてるのにちっとも教えてくれない。 それどころか、 『おい、もうちっと小せぇ声で話せ。ウルサイったらねぇや』 なんてコトを言うんだ! にくたらしいー! 『そんなコト言ってごまかすなー! 白雪ちゃんがなんて答えたか教えてくれるまで、ウチ、ずっと(ここ)で大きな声出すからね!』 白状しないと ずーっとウルサクしちゃうぞ、歌だって歌っちゃうぞ!  最近人気の【A・G・L】の歌、ウチは密かに練習中でやっと半分覚えたトコだ。 イジワルするなら(ここ)で練習始めちゃうから! ウチがどんなに騒いでも、バラカスにはちっとも効かない。 にくたらしい余裕のパンダは、半分笑ってこう言ったんだ。 『そりゃあ困ったな。でもいいのか? ずっと(ここ)にいたら仕事にも現世にも行けなくなるぞ?』 そ、そんなのダメだよ! 仕事も現世もウチにとって大事だもん、どっちも外せない! 『え……それは困る……じゃあ、ウチが困らないように早く教えてよ。バラカス、ウチが困るのイヤでしょ?』 あ、あれ? ウチ、なに言ってんだろ、自分で言っててワケ分かんない。 でもね、ヘンなコト言っちゃったのに、結局バラカスにはコレ(・・)が一番効いたんだ。 『ケケケ! なんだその理屈はよ。ま、確かにマジョリカが困るのはイヤだがな』 バラカスは笑いながらそう言うと、ウチを肩に乗せたまんまで歩き出す。 そして、 『マジョリカ、朝メシは食ったのか? 俺はまだだ。家に入ろう。メシを食いながら話すからよ』 きゃー! もう、ぜーんぶ聞いちゃうっ!
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