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バラカスのオウチはすっごく大きい。
霊体の大きなバラカスが住むんだもの。
当たり前と言ったらそうだけど、部屋の広さは地球の野球場よりあるんじゃないかな?
床は芝生が敷き詰められて、裸足になると気持ちが良い。
椅子とかテーブルとか、そういった家具類は使う時だけ構築してる。
だから部屋には何もない、…………あ、そうでもないか。
部屋の真ん中、より少し端寄り。
そこにはウチのベッドがある。
いつ泊りに来ても良いように、出したままにしてるんだ。
『マジョリカー、朝メシはなに食ったー?』
奥にあるキッチンからバラカスの大きな声がした。
ウチも負けずに大きな声で返す。
『サラダー!』
『それだけか?』
『うん!』
『……ダメだな、なっちゃいねぇ。もっと食わせねぇと。オイ、なにかリクエストはねぇか?』
『リクエスト? じゃあ パンケーキ!』
『おう、まかせろ』
バラカスがそう言って少しすると、部屋の中は甘い匂いでいっぱいになった。
久しぶりだなぁ、バラカスのパンケーキ。
甘くてふわふわですっごく美味しい、ウチの大好物だ。
黄泉の国なら指を鳴らせば、なんだって構築出来る。
服も宝石も、それからパンケーキも。
だけどバラカスは作るんだ、わざわざ、手間暇をかけて。
前に一度、料理をする理由を聞いた事がある。
____なんでかって?
____そりゃあアレだ、ありきたりだけどよ、愛情を込められるだろ、
____俺は口が悪いらしいからな、
____気持ちを伝えるには旨いモノ食わせるのが手っ取り早いんだ、
バラカスはウチを娘だって言う。
大事な娘だから作って食べさせたいんだって。
娘のウチにはパンケーキ、じゃあ白雪ちゃんには何を作ってあげるんだろ。
出来上がったパンケーキをバラカスが持ってくる。
ウチは指を鳴らしてテーブルとクッションを出現させた。
『わぁ! おいしそう! 良い匂いだなぁ……ウチ、お腹空いてきちゃったよ』
『おう、たくさん食え。足りなきゃいくらでも作ってやるから』
足りなきゃって……バラカスのパンケーキは普通のよりもうんと大きい。
1枚食べたら充分だよ、あ、でもな、おいしいから2枚くらい食べちゃうかも。
『アリガト! じゃあじゃあ、いただきまーす!(パクッ!)……ああ、おいしい……幸せ……あーあ、白雪ちゃんが今日休みだったらなぁ。一緒に食べられたのに。それで、バラカスの告白に白雪ちゃんはなんて?』
パンケーキを頬張りながら、一番気になるコトを聞いてみた。
『ブゴホッ! ゴホゴホゴホッ! チッ……まだ覚えてたのか、』
バラカスは咳こんで動揺した。
『パンケーキ、すっごくおいしいよ! でもさ、忘れる訳ないじゃん(モグモグ)。それで、白雪ちゃんはOKしてくれたの……?』
『あぁ? ああ、ん、そうだな、そうかもな、どうだろな、えっと、モゴモゴ』
うわぁ……こんなバラカス、初めてだ。
いつもの強気なパンダはどこへいったんだ。
でも、ウチ、こんなもんじゃないから。
ぜんぶ話してもらいますよ。
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