第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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白黒パンダの白いトコロがほんわり赤い。 毛皮があるから目立たないけど、ウチには分かる。 バラカス……相当照れてるな。 こんなに恥ずかしがってるのに、しつこく聞いたら悪いかな? んふふ、でも聞くけどね。 『んもー、”そうだな”、”そうかもな”、”どうだろな”、って(モグモグ)、それじゃあ、ぜんぜん分からないよ(モグモグ)。バラカスは白雪ちゃんになんて言ったの?(モグモグ) 白雪ちゃんはなんて答えたの?(モーグモーグ) うまくいったの?(モグモグモグ) それとも……フラれちゃった?(ハチミツもかけるー)』 フラれては……ないと思うんだよなぁ。 だってさっきの2人、すごく良い雰囲気だったもん。 『マジョリカはハチミツ好きだな。ほら、こっちにジャムもあるぞ。……で、白雪の話だよな。分かってる、ちゃんと話すさ。ただよ……クソッ! こういう話を娘にするってのは、えらく恥ずかしいモンだな』 言いながらバラカスは、おっきなパンケーキを2枚まとめて口に入れた。 モグモグしながら上を向いて、横を向いて、下を向いて、それで、ようやくウチの顔を視て、 『言ったのは一言だけだ。”おまえが好きだ”って、それだけな』 きゃーーーーーーー! 『白雪はすごく驚いてよ。そりゃそうだよな。俺のコト、100年来の親友だと思ってたんだ。なのにいきなり好き言われりゃあよ。声も出なくならぁな』 あ……そうだよね。 白雪ちゃん、バラカスの気持ちにぜんぜん気付いてなかったもん。 『でもよ、好きだ言った俺の顔視て、本気だってわかったみてぇでよ。向き合ってくれた、100年分の俺の気持ち、夜が明けるまで聞いてくれた。嫌がる事も茶化す事もしねぇで、俺の目を視て真剣にな』 優しい白雪ちゃんならそうするだろうな。 白雪ちゃん、話を聞きながら何を思ったのかな。 『ケケケ……こんな日が来るなんてな。100年、長かったぜ……ようやく想いを伝える事が出来たんだ。俺はもう思い残す事はねぇ、いつ死んだってかまわねぇ』 バラカス……伝えられて良かったね。 それとさ、ウチらもう死んでるよ。 ん、ここまでは分かった。 そ、それで、肝心の白雪ちゃんの返事は……? バラカスの気持ちを聞いてくれて、その後はなんて答えたの? そこが一番知りたいんだけど……バラカスは昨日のコトを思い出しているのか目を閉じて浸ってる。
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