第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ 待つ事30分、白雪ちゃんはまだ出てこない。 時計を視れば19時半を過ぎたトコだ。 今日の白雪ちゃんの勤務、19時までのはずなんだけどなぁ。 残業になっちゃったのかなぁ……? 各星の死者達を最初に迎える部署、【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】に終業時間はない。 24時間年中無休のフル稼働を支えるのは、朝、昼、夜の交代制で働くオペレーター達だ。 主に現場に出るのは一般職のオペレーター、そのオペレーター達をまとめるのがチーフになる。 ウチも一応チーフだけど、たまにタイヘンだなぁなんて思っちゃう。 トラブルがあれば、みーんなチーフにエスカレーションされるからね。 毎日いろんなトラブルがあるよ。 黄泉に来る死者達は、『うわー! 天国に来れたんだー!』って喜ぶ(ヒト)ばかりじゃない。 自分の死を受け止められず、取り乱す(ひと)、泣き出す(ひと)、怒り出す(ひと)だっている。 光道(こうどう)の仕事は、そんな死者達のケアも含まれているんだ。 死んでしまって悲しいと思うけど、大丈夫、1人じゃないし、黄泉はすごく良い所なんだよって、ウチらは一生懸命伝えるの。 大体のトラブルはチーフが出ればなんとかおさまる……けど、たまに、どうしてもおさまらないトラブルもあるんだ。 そんな時に頼れる(ひと)はただ1人。 【光道開通部(こうどうかいつうぶ)】の(おさ)である白雪ちゃんだ。 白雪ちゃんにエスカレーションされる案件は重たい。 一般オペレーターでもチーフでもダメで、拗れて拗れてどうにもならない案件だけが(おさ)に行く。 白雪ちゃんは、どんな案件が来ようとも、いつだってなんとかしてくれる。 ウチらはすっごく助かるけど、白雪ちゃんはその分大変だろうなって思うよ。 休みの日だって呼び出しがかかるコトがあるからね。
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