第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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◆ 『それじゃあ、マジョリカチーフ! (おさ)のコト、よろしくお願いしますの!』 バニー星のウサギ族。 ちんまり小柄なヤマちゃんは、カフェオレ色のフワフワ毛並みと長い耳がチャームポイント。 そのヤマちゃんはキリリと顔を引き締めて(あぁぁぁ……カワイイよぉぉぉ)、ウチに白雪ちゃんを託してくれた。 良かった……ヤマちゃん、納得してくれたみたい。 ちょっと前まで、ココは大変なコトになっていた。 心配するヤマちゃんは『病院に行くですの!』とピョンと飛び跳ね、大きな背中にしがみつき、しがみつかれた白雪ちゃんは『丁度いいウエイトね』と、おんぶのまんまでスクワットを始めた。 いきなり始まった筋トレに、最初、ヤマちゃんはポカンとしてたんだ。 だけど背の低いウサギの子は、いつもと違う高い視界が楽しくなって、すぐにきゃっきゃと笑い出し、白雪ちゃんが『楽しい?』と聞けば『楽しい!』とゴキゲンだった。 そんなこんなで百回のスクワットをこなした白雪ちゃんは、『はい、おしまーい』と、背中からヤマちゃんを降ろしてあげて…………ウチは、そのタイミングで声をかけに行ったんだ。 『あっ! マジョリカチーフ! どうしたんですの? 今日はお休みでしょ?』 タタタタタ!  ウチを視るなり抱き着いてくるヤマちゃん。 思わず顔がニヤけちゃう。 このちんまり、このふわふわ、た……たまらない。 『うん、今日はお休みだよ。ウチ、白雪ちゃんに会いに来たんだ。それでね、さっきヤマちゃんの声が聞こえたけど、白雪ちゃん熱っぽいんでしょ? 心配だね、ほっとけないね。だからウチが……』 面倒を視るから、なにかあったらすぐに病院に行くから任せてもらえるかな? と、お願いして……その結果、”それじゃあ、マジョリカチーフ! (おさ)のコト、よろしくお願いしますの!” に、落ち着いたんだ。 『うん、まかせといて! 白雪ちゃんには今夜、ウチの家に泊ってもらうよ。それで一晩様子視る。だいじょうぶ、心配しないで。どうしても熱が下がらなければ、ちゃんと病院に行くから』 熱の原因。 それは体調不良じゃない。 本当の原因は恋だけど……でもそれは、今はまだ内緒なの。 だって、こういうのは本人達から言いたいだろうし、そのタイミングは2人で決めるコトだものね。
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