第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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光道開通部(こうどうかいつうぶ)】正面玄関、そこでヤマちゃんとバイバイした。 白雪ちゃんは、”ふぅ” と息を吐くと『マーちゃん、ありがとね』と言って笑った。 『ううん、ウチはなんにもしてないよ。ヤマちゃんは優しい子だね。あんなに白雪ちゃんを心配して。でも……あはは、おんぶスクワットが気に入っちゃったんじゃない? 楽しそうにしてたもの』 話ながらなんとなく歩き出す。 白雪ちゃんもおんなじだ。 『ふふふ、私も楽しかったよ。それにヤマちゃんくらいの重さの子は、筋トレするのに丁度良いウエイトになるの。またおんぶさせてもらおうかな。それで……マーちゃんは? 今日は買い物?』 背の高い白雪ちゃんは優しい顔を下に向け、ウチと目線を合わせてくれた。 あ……ホントだ。 白雪ちゃん、ほんのりほっぺが赤いよ。 1日中こんな顔してたのかな? ヤマちゃんが心配するわけだ。 『ううん。ウチ、本当に白雪ちゃんに会いに来たんだよ。光道(こうどう)の前で待ち伏せしてたんだから』 探偵みたいでしょ? と胸を張れば、白雪ちゃんは慌てたようにこう言った。 『ま、待ち伏せ? そうなの? ごめん! ずいぶん待ったんじゃない?』 『大丈夫、そんなコトないよ。待ち伏せしてすぐに白雪ちゃん達が降りてきたんだ。ウチ、ぜんぜん待ってない』 『そ、そう? なら良いけど……ん、ねぇマーちゃん。私に用事って……それは……その……もしかして……話がある……のかな?』 『ふふふふふふふふふふ……そう、白雪ちゃんと、いーっぱいお話したいなぁと思って。たとえば恋の話……とか、とか、とかとかとかとか、きゃー!』 『マ、マーちゃん! 声が大きいよぉ、もっと小さな声で!』 『あー! ”もっと小さな声で” って、朝バラカスにも言われたよ! なんか2人、気が合うみたいだね。うふふ……』 『や、やだ! えっと、その、どうしよう、私ね、私…………マーちゃん、あの、私もお話したいわ。私、分からない事だらけよ、』 『分からないコトって恋のコト?』 『……! …………う、うん、そう、好きって言われて、その後はどうしたらいいのかしら? 付き合うって、デートをしたらいいのかしら? デートは何をすればいいの? お出かけ? 観劇? 筋トレもデートに含まれるのかしら?』 『え……っと、筋トレは……どうだろう、で、でも、恋に決まりはないと思うよ! とりあえず……ゴハン食べながら話そうか』
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