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『こちらでございます。オーダーが決まりましたらテーブルの水晶にお声かけください。それではごゆっくり、素敵なディナーを』
菅野さんは、そう言ってニコッと笑うと部屋を後にした。
白雪ちゃんと2人になって、ウチは思わずはしゃいでしまう。
だってステキ、ここには何度も来てるけど【スターレイク】に入ったのは初めてだもの。
『ねぇ、すごいよ、まるで森の中みたい……湖、星の欠片でいっぱいだ、綺麗だねぇ……ここで白雪ちゃんとゴハンが食べられるなんて幸せ……!』
【スターレイク】、この部屋が女性に人気ってわかるなぁ。
廊下を歩いてドアを開け、中に入ると別世界。
まず目に入るのが、大きな星の湖だ。
水の代わりに星の欠片で満たされて、赤や青、黄色に紫、緑に橙。
数えきれない綺麗な色が淡く光を発してる。
その湖の真ん中に、シンプルな木のテーブルと木の椅子が置いてあり、ゴハンはそこで食べるんだ。
湖まわり、地面は芝生が敷き詰められて、歩くとすごくフッカフカ(バラカスのオウチみたい)。
芝生の向こうはグルッと丸く、木がたくさん植えてあるけど、奥へ行くほど光が届かず、だんだん影が深くなる……これって、ずっと向こうまで森が続いてるように視せてるんだろうなぁ。
視上げれば落ちてきそうな星空が。
時折優しい風も吹き、ここが部屋の中だなんて信じられない。
『マーちゃん……綺麗だねぇ。ここはゴハンもおいしいし、素敵な夜になりそうだわ。さあ、テーブルまで行きましょう』
うっとりとした顔で白雪ちゃんはそう言うと、そっとウチの手を取ってくれた。
あ……これってウチが今日、踵の高い靴を履いてるからだ。
白雪ちゃんは何も言わなくても、こういうの視ててくれるんだよなぁ。
ウチが転ばないように気遣ってくれるの……もう、大好き。
2人で手を繋ぎ、湖の真ん中まで歩いていって、大きな木を切っただけの味のあるテーブルに着いた。
椅子も木だけど、柔らかいクッションが敷いてあり、オシリが痛くならなようになっている。
『わぁ、クッションふわふわだぁ。えへへ、気持ちいいな。ああ……それにしても綺麗だねぇ。森の中の大きな湖の真ん中でゴハンを食べるなんて、普段なら絶対にないもの。なんだか夢の世界みたい……』
ウチもうっとりしちゃう。
前に座る白雪ちゃんは、黒い瞳に星の光が映り込み、プリズムみたいに視えるんだ……すごく綺麗だなぁ。
『マーちゃん、先に飲み物を頼みましょう。なにがいい? ワインかしら』
白雪ちゃんに聞かれたけどウチは首を振った。
ワインは大好き、でもね、最近は現世によく行くでしょ。
そこでジャッキと大倉に教えてもらったお酒があるの。
2人が大好きなお酒、飲んでみたらおいしくて、ウチも大好きになったんだ。
『ううん、今夜は別なのにする。白雪ちゃんはいつものワイン? 一緒に頼んじゃうね』
テーブルの端っこ。
そこに浮かぶ白水晶にウチは声をかけた。
『グラスワインの赤、それと焼酎のお湯割り、おっきな梅干し入りでお願い』
言い終わって前を向くと白雪ちゃんは『焼酎梅割り……渋いわね』と目をパチパチさせている。
ウチが『飲んでみる? おいしいよ』と答えたのと同じくらい。
水晶が光り、テーブルの上にはそれぞれ、グラスワインと焼酎の梅割りが構築し終えていた。
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