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『じゃあ、えっと……白雪ちゃん、お仕事おつかれさまでした、』
言いながらグラスを持つと、白雪ちゃんもおんなじようにグラスを持った。
『うん、おつかれさま。マーちゃん、お休みなのに会いに来てくれてありがとう、』
約束なんかしていない。
突然押しかけ待ち伏せしたのに、白雪ちゃんはイヤな顔をしないんだ。
それどころか ”ありがとう” なんて言ってくれる。
こんなに優しい女の子だもの。
バラカスが好きになるのも無理はないよ。
チンッ!
ワイングラスと焼酎グラス、小さく重ねて乾杯をした。
『んー、仕事終わりのワインはおいしいわぁ』
『休みの日の焼酎もおいしいよぉ』
……
…………はぁぁぁ……♪
好きなお酒を一口飲んで、そのおいしさに霊体の力が抜けていく。
リラックスモードに突入だ。
一息ついてゴハンもオーダー。
机に浮かぶ白水晶に【シェフにおまかせ野菜多めのヘルシーメニュー・デザートは季節のフルーツケーキをホールで】とお願いした。
あとはおいしいお酒とおしゃべりを楽しみながら、ゆっくりと待てばいい。
フェリーチェの料理は手作りだから、少し時間がかかるんだ。
お酒みたいに出てくるのは早くない。
そう、早くないのだよ。
ぜんぶ、話してもらっちゃう。
ウチには重大な使命があるんだ。
バラカスの "ソレガシー” 問題をなんとかしなくちゃいけない。
そのためには、まず白雪ちゃんの気持ちをいっぱい聞くの。
『今夜のメニューはなんだろう? ”シェフのおまかせ” って毎回メニューが変わるから楽しみだよねぇ。でも少し待たなくちゃ。待ってる間に……ん、ウソ、本当は待ってる間だけじゃないけど。ウチ、白雪ちゃんの話を聞かせてほしいナ。コト細かに、ぜんぶ、そう、もう、ぜーんぶっ!』
テーブル越しに身を乗り出してそう聞くと、白雪ちゃんは一瞬怯んで固まった……けど、すぐに言ったの。
『ぜ、ぜんぶ? は、恥ずかしいな、ん、でも、でも私、さっきも言ったけど……分からないコトだらけなの。マーちゃん……私、話すわ。だから色々教えてほしい。…………でも、何から話したらいいの?』
恥ずかし顔から真剣顔に、そしてすぐに不安顔。
表情がクルクル変わる。
光道にいる時の、長の顔とはぜんぜん違う。
白雪ちゃんは乙女の顔になっていた。
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