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直後、なんとも言えない空気が流れた。
それから少しの間が空いて、
『…………ソレガシーさんが、バラカス?』
白雪ちゃんは訝し気にそう聞いた。
眉間にかすかにシワを寄せ、ウチが言った意味を考えてるように視えた。
『うん、……ごめんね。ウチが今日、白雪ちゃんを待ち伏せしたのは、この事を話したかったからなんだ』
緊張する、声がだんだん小さくなっちゃう。
白雪ちゃんは何かを言いかけ、だけど黙ってワインを飲んだ。
一口、二口、喉にゴクリと流し込み、そしてグラスを置く。
『マーちゃん、言ってる意味がよく分からないわ。どうしてソレガシーさんがバラカスなの? 彼には昨日初めて会って話をしたけど、バラカスとは似ても似つかない霊よ。ヒト族だからパンダの容姿と程遠いし。そもそも、ソレガシーさんはコッテコテのオタクさんなの。バラカスとはあまりに違いすぎるわ』
昨日の ”ソレガシー” を思い出しているのか、言いながら白雪ちゃんはクスクスと笑いだした。
ウチはその笑顔に少しだけホッとする。
白雪ちゃんにこんな顔をさせるくらいだ、きっと ”ソレガシー” の印象は良いんだろう。
良かった、その方が話しやすいもの。
『白雪ちゃんはソレガシーと話して楽しかった?』
ふと気になって、こんなコトを聞いてみた。
すると白雪ちゃんは、
『ええ、楽しかったわ。とても個性的な方だから最初はビックリしたの。でも彼は良い霊だった。話していて面白いし、サイリウム……? の、スティックライトをプレゼントしてくれて、それがとってもキレイなの。ああ、そうだ。彼、昨日は急に帰ってしまったから、ちゃんとお礼を言っていないのよ。またどこかで会えるといいのだけど……』
と、お礼の心配をした。
ダイジョブ、いつでも会えるよ白雪ちゃん。
だってソレガシーはバラカスだもの。
『白雪ちゃんがそんな風に思ってるの知ったら、バラカスはきっと大喜びだ』
さり気なく、話を元に戻しつつ言ってみた……けど、白雪ちゃんは中々信じてくれないの。
『どうしてバラカスが喜ぶの? 言ったでしょう? バラカスとソレガシーさんは別人だって。バラカスには関係のない話よ』
あ……うん、そうだよね。
本当に別人だったら関係ない話だよ、でも。
『ううん、本当に別人じゃないの。あのね……怒らないで聞いて。バラカス、自分の霊体を再構築したんだ。それでパンダからヒトの容姿に姿を変えたの、』
い、言っちゃった……!(ドキドキドキドキ)
でも仕方がない、言わなきゃ信じてもらえないもの。
シン……と沈黙が流れた。
この静けさ……なんだかすごく落ち着かない。
ウチはソワソワ、白雪ちゃんは口を結んで真面目な顔で考え込んでいる。
……
…………
それから少しして……白雪ちゃんはやっと口を開いてくれたんだけど……
『そう……再構築……、という事は、ソレガシーさんがバラカスと同一人物だというのは……本当なのね。そう……そっか……ふぅん……』
ウチを視ない白雪ちゃんは、目を伏せて、独り言のように呟いていた。
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