第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『そう? そうかしら……ん……よく分からないわね。私……バラカスの事、黄泉の誰よりも理解してると思ってたわ。私達は親友で、この先、ずーっと一緒にいると思ってた』 『…………当たり前だよ、』 聞きながら、背中が冷たくなってくる。 なんかおかしい、嫌な予感がする。 なに……? 何が言いたいの? どうして過去形なの? 『昨日、思いがけずバラカスの気持ちを聞いたわ。驚いたけど嬉しかった。胸がドキドキして、バラカスを好きになりたいなって思ったの。だけど……分からなくなっちゃった』 『なんで……!? バラカスがルール違反をしたから? ソレガシーの正体を明かさなかったから? でもそれは、バラカスにも理由があって……! それに、バラカスはちゃんと自分で本当の事を言おうとしてるわ、だから悪気のあるウソじゃなくて、好きだからついてしまったウソで、……ねぇ、変な事言わないでよ……お願い』 ウチの懇願に白雪ちゃんは、申し訳なさそうに眉根を寄せる。 『マーちゃん……ごめんね。マーちゃんは私とバラカスを心配して、こうして間に立ってくれてるのよね。待ち伏せしてまで私に会いに来てくれたんだもの。その気持ちが嬉しいわ。大好きなマーちゃん、ありがとう。でも……でもね、私、今聞いた事。最初にバラカスの口から聞きたかったわ。どうしてバラカスが来ないの? こんな事……マーちゃんに言わせて……』 白雪ちゃん、目が赤いよ……どうしよう…… 『……白雪ちゃん……ウチ……ごめん、でも、あのね、バラカス、臆病になってるの。100年の片想いがあまりにも長くて、やっと白雪ちゃんに想いを伝える事が出来て、それをどうしても壊したくなくて、いつものバラカスじゃないから、うまく言えなそうで、だからウチが最初に話して、その後、』 『……うん、そうなのかもしれないわね。私、恋愛の仕方が分からないから、こんな事くらいでモヤモヤするの、おかしいのかもしれないわ。でも……ごめん、どうしても……そう思ってしまうのよ。だから私____やっぱり無理みたい。バラカスとは付き合えない』 ああ……待って、 お願い……待ってよ____
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