2365人が本棚に入れています
本棚に追加
/2550ページ
◆
その後____頼んだ料理が運ばれてきた。
ウエイターの菅野さんは部屋に入ると『お待たせしましたー!』を、やっぱり3度繰り返し、元気な声はウチらの会話を中断させた。
菅野さんはにこやかにテキパキと。
何もなかったテーブルにはご馳走が並べられ、それを視た白雪ちゃんは不自然なくらいはしゃぎだした。
____さぁ、この話はおしまい!
____私、お腹が空いちゃったわ!
____いただきましょう!
ウチは……味なんて分からなかった。
夢のような一皿なのに、ただただ口に運んで飲み込むだけ。
白雪ちゃんは今日あった出来事を、面白おかしく話すのだけど、ウチは曖昧に頷く事しか出来なかった。
食事が終わってケーキを食べて、…………でも、残してしまった。
ホールといえどもそんなには大きくない。
いつもならこのくらい、2人でペロリと食べてしまう。
”おいしいねぇ” と言い合って、それから、"ウチら死者で良かったね、どんなに食べても太らないもの” と笑い合う。
なのに今夜は食べきれなかった。
2人とも、途中でフォークを置いてしまった。
沈黙が流れた。
いたたまれない空気の中で、ウチは俯き、はしゃいでた白雪ちゃんも俯いた。
お互いなんにも言えないままで、時間だけが過ぎていく。
その沈黙を先に破ったのは白雪ちゃんだった。
小さく息を吸い込んで、そのまま空気を吐き出すついで、……そう、まさにそんな感じに言ったんだ。
____マーちゃん、今夜は帰りましょう、
って。
ウチは……従うしかなかったよ。
だって白雪ちゃんの顔、すごくすごく疲れてるんだもの。
最初のコメントを投稿しよう!