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菅野さんに視送られ【フェリーチェ】を後にした。
エレベーターで下に降り、高層ビルの外に出ると、夜も更けてきたというのに街はとても賑やかだった。
道行く霊は誰もかれもが笑ってて、今のウチにはそれがとっても眩しく視えた。
『それじゃあマーちゃん、帰りは気を付けてね』
白雪ちゃんはそう言うとウチの頭を一撫ぜし、『今夜はココで解散よ』とも言った。
ビルの前で解散か……いつもだったら帰る時、移動の陣まで一緒に行くのに。
だけど今夜の白雪ちゃんは、陣は使わず走って帰るのだと言った。
『今日はね、大きなトラブルがなかったの。だから1日デスクワークで霊体がなまっちゃったんだ。だから家までランニングで帰ろうかと思って。…………ほらぁ、そんな顔しないの! マーちゃんは何も悪くないんだよ。バラカスだって……そう、きっと悪くないんだわ。悪いのは私。____でも、バラカスの再構築の件は許しちゃだめね。マーちゃん、帰ったらバラカスが泣くほど叱ってやってちょうだい。じゃあね、』
あ……待って!
……
…………行っちゃった、
止める間もない素早さで『じゃあね』と言った次の瞬間、白雪ちゃんは走り出していた。
街は霊で溢れているのに、器用に誰ともぶつからず、大きな背中はあっという間に小さくなっていく。
『…………ウチも、帰ろ』
誰に聞かせる訳でもない、だけど小さく呟いた。
そうでもしないと、自分にそう言わないと、いつまでたっても動けそうになかったからだ。
ウチはトボトボと歩き出した。
街はとっても賑やかで、道行く霊の誰もかれもが笑ってる。
笑ってないのはウチだけだ。
足が重い、知らない霊とぶつかるたびに、”ごめんなさい”、”すみません”、何度も何度も口にした。
謝りすぎて、ウチは誰に謝っているのか、本当は誰に謝りたいのか、そういうのが分からなくなっていた。
帰る為に陣へと向かう、けど……まだかな、
歩いても歩いても、移動の陣までまだ着かない。
おかしいな、こんなに遠かった?
それともそう感じるだけ?
気持ちが、重いのかもしれないな。
これからウチはバラカスの家に行く。
今夜の事、白雪ちゃんの気持ち、その両方を話すために。
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