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【あー! その声はバラカスか? ひっさしぶりだなぁ!】
ウチの心配をヨソに、バラカスに気付いた大倉が元気に声をかけた。
聞いたバラカスもすぐに、
『おぅ、久しぶりだな。元気でやってたか?』
と応え、その声に暗さはない。
あ……バラカス、なんだか嬉しそうだ。
そっか、そういえばそうだったな。
この2人は直接会った事はないけど、波長が合うと言うか……そう、最初から気が合っていた。
大倉が家族になるって話した時も『そうなるんじゃねぇかと思ってた』って、すんなり受け入れてくれたんだ。
ん……、ウチ、心配しすぎだったかな。
かえって良いのかもしれない。
ウチだけじゃ、泣いてばかりでしんみりしちゃう。
大倉とバラカス、みんなでおしゃべりした方が、バラカスも気が紛れるかもしれないよ。
【アタシは元気だよ! でもさ、昨日までは仕事が忙しくて泊りがけの現場だったんだ。サイアクだったよ。滅しても滅しても悪霊共は減らないし、アタシ、途中で飽きちゃってさぁ。早く帰りたいなーとか、とっとと滅して家帰ってカラアゲ作って食べたいなーとか、そんな事ばっか考えてた。でもな、カラアゲ食べたいって思ったらスッゲー霊力が湧いてきてさ、スパートかけて一気に滅したんだ! もちろん帰ってお腹いっぱいカラアゲ食べたよ! おいしかった!】
『おま……相変わらずだな。悪霊共に囲まれてんのに、考えるコトがカラアゲか? フツーそんなコト考えねぇだろ、つーか、考える余裕がねぇだろ。食い意地でスパートがかかるなんざ、弥生はやっぱりバカだな』
【なっ! ムキー! バラカスまでバカってゆーなっ!】
『ケケケ! いいじゃねぇか、そういう(バカな)ヤツは嫌いじゃねぇよ』
【なんだよバラカス……アタシのコトが好きなら素直にそう言えばいいじゃんか。アタシには旦那と(ジャッキー)嫁が(マジョリカ)いるけど、それでも良いか?】
『いや、お前ナニ言ってんだ? 旦那は分かるが嫁ってなんだ。マジョリカはお前の嫁なのか? そう思ってるのお前だけだろ』
【そんなコトないよ! マジョリカだってアタシのコト旦那だって思ってるって!】
『まぁ、黄泉じゃあそういうのも珍しくねぇけど、お前の場合一方的に思ってるだけなんじゃ……だからな、あのな、』
な、なんか、大倉がヘンなコト言い出してるけど、でも、バラカス楽しそうに笑ってる。
良かった……こうやって笑ってくれれば気持ちが晴れる。
いっぱい笑って、ゆっくり眠って、それで、明日になったら改めて話をしよう。
大倉に感謝しなくちゃ……うるさいけど、しつこいけど、たまに困るけど、だけど大倉のこういうトコ、ウチも見習いたいよ。
明るくて、楽しくて、一緒にいるとたくさん笑える。
……と、安心してたのに。
このあと大倉は地雷を踏んだんだ、……それが、
【嫁と言えばさぁ、バラカスはどうなんだ? うひゃひゃ、こないだジャッキーから聞いたんだ。ずっと片想いしてんだろ? 告白とかしないのか? 男ならガツンと告れ! YOU、告っちゃいなYO!】
これっ!
フラ……あ、どうしよ……ウチ、貧血起こしそ。
★弥生、現場でカラアゲのコトで頭がいっぱい。
↓
※特典の『霊媒師らくがき』にも載せてます。
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