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中年生者と老年死者が大地に横たわり、俺達は拳で解り合えたんだと言わんばかりの馬鹿笑いに、僕とユリちゃんはポカーンと棒立ちになっていた。
「なんかよく解んないけど仲良くなった、みたいですね」
ユリちゃんは深―い溜息をついたあと、
「はぁ、そうみたいですね。岡村さんごめんなさい。びっくりしたでしょう? ウチの爺ちゃん、ほんっっっっとうに喧嘩っ早くて……でも、あちらの方、清水さん? でしたよね。すごく強そうだし、爺ちゃんに似た雰囲気だから、とりあえず見守ろうかなぁって、」
「ははは、ウチの社長もあんなんだし、彼らの場合はこれで良かったのかもしれないですね」
「爺ちゃん、昔からああで。ウチ……母があんな事になったから、私を引き取ってからずっと、私を守る事に使命感を燃やしちゃって。田舎でも有名だったの”オマエんちの爺ちゃん恐いな”って。でもね、私にはとても優しい爺ちゃんで、強くて、頼もしくて、いつだって豪快に笑ってて、」
呆れるでしょう?
と言いながら、祖父自慢をしているのがほほえましい。
ユリちゃんはきっとたくさんの愛情で守られてきたんだな。
「すごく優しい婆ちゃんもいたの、だけど去年病気で……なのに今年、続けて爺ちゃんも死んじゃった。それでね、爺ちゃんが死ぬ前に、母が最期まで私を守ってくれた話と……それと、母が、母が昔住んでたアパートに成仏できないまま縛られてるって話を聞いたんだ」
聞いた時は辛かっただろうに。
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