第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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・2ターン目 ジャ→【はぃぃ? デリカシー云々は、バラカスと弥生だけには言われたくないな。あ、マジョは言っていいんだよ】 弥生→【えっ! なにそれ! まるでアタシにデリカシーが無いみたいな言い方! 誠じゃねぇんだからよ! アタシだってデリカシーくらいあるわ!】 ウチ→【そうだよ! バラカスはともかく大倉は 意 外 と 気を遣う子なんだからね! うるさいけど、しつこいけど、たまに困るけど!】 バラ→【あーあーあーあー! ウルセェよっ! お前ら少し静かにしろ! いいか? お前らのパパは失恋して傷心なんだよ! ちったぁ気遣え! 好き勝手騒ぐなー!】 …… …………シン…… あ……静かになった。 バラカスの ”失恋した” 発言は、ジャッキと大倉を一瞬で黙らせて、みんなの息遣いだけがやけに頭に聞こえてくる。 バラカスは『ふぅ』とため息をついたあと、 『ま……そういうコトだ。昨日な、白雪に告白したんだよ。で、一度はOKもらえたんだけどよ、俺がバカやったせいで、今日になってフラれちまった。……はぁぁぁぁ、100年想って、願いが叶ったのはたったの1日。……俺、カッコ悪いだろ? 笑っていいぜ?』 自虐的にケケケと笑って、ジャッキと大倉にも笑っていいと、力弱く言ったんだ。 シン……再び沈黙。 数分が数十分に思える静けさ。 その沈黙に勇気ある大倉が口を開いた。 【そっか……バラカスは100年も想っていたのか。すげぇな。アタシも片想いが長かったけど、バラカスに比べたら短くて、たったの7年ぽっちだわ。100年、長いな、よく言ったな。勇気がいただろうな。フラれたって関係ない。父ちゃん、胸張れよ。アンタ最高にカッコ良いわ】 それはとっても力強くて、ウチはもう泣きそうになっていた。
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