第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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『許してもらえるかは……正直わかんねぇよ。白雪は真面目だからな。最初からつこうと思ったんじゃねぇけどよ、結果的に俺は白雪を騙したんだ。もしかしたら、もう許してもらえんかもしれん……』 ”はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ”……と、長ーいため息をついたバラカス。 ジャッキは【そりゃまた……】と呟いたものの、言葉に詰まっていた。 そだよね、ジャッキは白雪ちゃんの真面目っぷりを直接視てるもんね。 ハッキリとは言わないけど、挽回は難しいと思ってるのかもしれない。 どんよりした空気が流れる中、ジャッキと入れ替わるように今度は大倉の声が滑り込んできた。 【ふぅん、大体事情は分かったよ。要はヒトに化けて散歩してたら白雪に視つかって、ごまかすついでに気持ちを探った、で、なんやかんやでパンダに戻って告白したら、めでたく付き合う事になったけど、嘘がバレてダメになった、ってコトだろ?】 『あ、ああ……その通りだ』 うわぁ……もうちょっと包もうよ……間違ってないけどさ、でもさ、……ん、ま、いいか。 【あのさ、こう言っちゃあなんだけど、それくらい大した事なくないかぁ? だってさ、パンダの姿で街を歩くと騒がれちゃうんだろ? 気が休まらないんだろ? そんなん、アタシだって化けるわ。そりゃあさ、再構築? ちゃんとしたルートじゃないんだろうけど、それくらいさぁ……騒ぐコトじゃない。アタシだって高校の頃、******(ピーーーー)で、****(ピーー)だったし、しかも、********(ピーーーーーー)くらいしたコトあるぜ?】 『おぃぃっ! 弥生はどんな高校生活送ってたんだよ、お前と一緒にするな! 白雪は元ヤンじゃねぇんだからっ!』 【へへ、褒めすぎだ。で? その真面目な白雪にバレないように必死にごまかしたって? それだってカワイイもんじゃねぇか。誰かを傷付けるウソじゃないんだ。その程度なら……ほら、アレ、子供が寝ションベン隠すのと一緒だよ】 『寝ショ……!』 ちょ、大倉……! ……んんんん……ま、いいか。 【あとなんだっけ? ヒトの姿で正体隠して、好きな女の気持ちを探った? いや、コレだってしちゃうだろ。だって気になる、当たり前だ。好きだから知りたくなるんだ。しかもバラカスの片想い歴は100年だし……もはや誰も責めやしないさ。どれもこれも大したコトじゃない。付き合って、後から2人で笑い話になるレベルだ。問題は……そういったコトのカミングアウトをマジョリカに頼んだトコだよな。これはヤバイわ】 『パ……パン……その通りだ……情けねぇ話だがビビっちまった。クソ……俺がチキンなばっかりに、マジョリカにも嫌な思いをさせちまったんだ』 そんなのはいいの、ウチこそごめんだよ。 それよりも……ぜんぶの事情を知った大倉、この子はこの後なんて言うだろう?
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