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『バラカス、大丈夫!? しっかりしてぇっ!』
倒れたパンダは芝生の床にうつ伏せで伸びている。
霊体のおっきなバラカスだから、抱き起してはあげられないけど、代わりにふかふかのお腹をさすってあげた。
心なしか、白黒毛皮の白のトコロが青くなってる。
これ……そうとう効いてるな。
でも、遅かれ早かれ言わなくちゃいけないコトだ。
視てて辛いけど……仕方がないの。
【あ……ちょっとハッキリ言いすぎたか? ご、ごめんよ、父ちゃん。でもさ、やっちまったモンは今更言ってもどうにもならないよ。ほら、元気出せっ! なっ!】
いや、無理でしょ……さすがに今回無理でしょ……
大倉ならなんて言う? って思ったけど、予想をはるかに超えていた。
ここまでハッキリ言うとは……ん、ちょっとは思ったけどさ。
もう死んでるのに、死にそうなバラカスは、それでもなんとか霊体を起こして胡坐をかいた。
そして掠れた声で呟くように言ったんだ。
『そうかぁ……そうだったのかぁ……もう、会えないのかぁ……あぁ……やっちまったなぁ……こんなショックは【闇の道】に捕まったあの瞬間以来だわ……いや、そっちの方がまだマシかもな……パ……パン……』
ああ……視てられない。
いつもは強気のバラカスなのに、まるで子パンダみたいに小さくなって(イメージです)、落ち込み方が尋常じゃあない。
視かねた(聞きかねた?)ジャッキが、静かに優しくバラカスを励ました。
【バラカス……だ、大丈夫か? すまない、弥生は思ったコトは何でも口にしてしまうんだ。悪気はないのは分かるだろうが……今のバラカスにはキツイよな。その……なんだ、自分からも言わせてもらう。元気だせ。白雪ちゃんの事は残念だったが、これからまた頑張ればいいさ。しばらく会ってもらえないなら、時間を置いてほとぼりを冷ましてだな……】
うん、そうだね。
黄泉の国は時間はあってないようなものだもの。
老いる事も寿命もないの、これからまた頑張ればいいよ……と、思っていたのに。
ここでまた大倉がとんでもないコトを言い出した。
【ちょっと待てよ、ナニ言ってんだ。こういう失敗は、とっとと動いた方が良い。ほとぼりが冷めるのを待ってたら、気持ちもすっかり冷めちまうよ】
『……なんだよ、弥生こそナニ言ってんだ。お前が言ったんだろ。白雪はもう俺と会う気はないって。相当怒ってるはずだって。……もう無理だ。諦めるしかねぇんだよ。かと言って、明日から嫌いになんてなれやしねぇ。このまま片想いを継続するさ』
【あーそれな、確かに言ったわ。でもアタシは、だからってアキラメロとは一言も言ってないだろ?】
『どういう意味だよ。言っちゃねぇが、言ってるのと同じだろ』
【同じに聞こえたか? そりゃ悪かった。違うよ、アタシはしつこい性格なんだ。それくらいでアキラメロなんて言わないさ。あのな、こういうのは早い方がいい。バラカス、今から白雪に逢いに行けよ】
『パ、パンーーっ! 弥生、言ってる事がぜんぜん違うじゃねぇかよ! 白雪はもう俺とは会わないだろうって言ったクセに、今から逢いに行けだ? 意味がわかんねぇよ!』
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