第二十一章 霊媒師 ……もいる、黄泉の国の話

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バラカスの慌てっぷりはウチが驚くほどだった。 そういうウチも戸惑ってる。 白雪ちゃんにこれから会いに行けって……それ火に油にならないかな。 だってすごく怒ってた。 白雪ちゃんは優しいから、ウチに怒りはしなかったけど、いつもと様子がぜんぜん違った。 黙り込んだと思ったら、急にはしゃいでいっぱい喋って、そうかと思うとケーキを残して、走って帰ると陣まで一緒に行かなかった。 きっと白雪ちゃんは怒ってるだけじゃない。 大倉の言う通り呆れてしまってガッカリしてるの。 ウチは……そんな白雪ちゃんを直接視たから気が気じゃなかった。 これでバラカスが会いに行ったら……今日の今日だもん。 もっと怒らせちゃうんじゃないかと心配になる。 【白雪は間違いなく怒ってるだろうな。チキンなバラカスにガチギレだ。今頃、うっぷん晴らしに暴れてるかも】 お、大倉……そこまで言うのに会いに行かせるの? バラカス、ショックで消滅しちゃうかもしれないよ。 『……そ、そうだろうな。はぁぁぁ……やっちまったぁ……後悔しても(おせ)えけど……やっちまった』 【あはは、確かにやっちまったよな。でもさ、何度も言うけど、やっちまったモンは取り消せない。後悔したって始まらないんだ。なぁ、バラカス。もっと単純に考えようぜ。アンタは白雪が好き、好きすぎておかしくなってバカなコトをした、けど反省してるしあやまりたいし、なにより本当は諦めたくない、違うか?』 『………………違わねぇよ。でもよ、そりゃあ俺だけの気持ちだ。白雪は違うだろ。本当はよ、顔視てちゃんとあやまりてぇ。でもよ』 【でも? なんやかんやで諦める? 怒ってるから、ほとぼりが冷めるまで待つ? 冷めたらまた告るのか? はっきし言ってそっちの方がダメだと思うぞ。だってそうだろ、今回、直接あやまりにも行かないで、曖昧なまま終わらせて、それこそこの先、シレっと言うのか? あの時は悪かったって。アタシならイヤだわ。同じ言うなら、シバかれ覚悟で今すぐ来いって思うわ。怒られるのもボコられるのも、全部覚悟で泣きながら土下座された方がキュンキュンくる。今は会いたくないってのも本心だろうが、来なきゃ来ないで腹がたつんだ、賭けても良い……女って、みんなそうだ!】 大倉はまるでガッコのセンセのように言い切った。 ちょっぴり無茶な理屈だけど、バラカスは、それを聞いて考え込んだんだ。
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