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ガバッ!
わわっ!
なに!?
急にバラカスが立ったよ!(ドキドキドキドキ)
丸い手を握りしめて上を向き、そこに弥生はいないのに、いるかのように大声をあげた。
『弥生、お前は本当に遠慮がねぇなぁ! パパに向かって言いたい放題言いやがる! でもよ、……チッ! ありがとな! 弥生、ジャッキー、マジョリカ! 悪いがちょっと出かけてくる』
バラカス……!
い、行くんだね、白雪ちゃんに会いに……!
バラカスの宣言に大倉は弾んだ声でこう聞いた。
【へへっ! やっとその気になったか。でもさ、白雪が今どこにいるのか知ってんの? まずは家にでも行くのか?】
『いや、家には行かねぇ。行ってもいねぇだろうからよ。今日みてぇな夜はよ、大草原にいるはずだ。アイツは昔からそうだ。嫌な事、落ち込む事があった日は、草原でひたすら筋トレするんだよ。今夜は間違いなくいるはずだ。弥生、ジャッキー、ありがとな。マジョリカも泣かせちまって悪かった。行ってくるよ、ちゃんと顔視てあやまってくる。許してもらえなくても、怒鳴られても、飛び蹴りされても足掻いてくる、じゃあ、ちょっくら土下座してくるわ____大草原へ、』
ブンッ!
早口で話していたバラカスは、瞬間移動のための言霊を最後に姿を消した。
バラカス、頑張って。
白雪ちゃんにあやまって、それで、願わくば許してもらえますように。
それがどうしてもダメなら、せめて親友に戻れますように。
両手を絡めて、神様にお願いをする……と、その時、大倉の慌てた声がウチの頭に滑り込んできた。
【マジョリカ! なにやってんだ、すぐに追いかけろ!】
『追いかけろって誰を? ……まさかバラカス』
意味が分からない、ウチは半信半疑で大倉にそう聞くと……
【そう、バラカス! 尾行して気付かれないように覗くんだよ! ほら早く!】
えぇ!?
冗談でしょ?
覗きに行くの?
それって、それは、そればっかりは……!
『だ、だめだよっ! そんなコト……バラカスにも白雪ちゃんにも悪いもん! ヒトの恋を覗くなんて、し、しちゃイケナイ事でしょ?』
ウチがいくらそう言っても、大倉は聞かないの。
ダ、ダメ……そんなコトしちゃダメなの、ジャ、ジャッキ……!!
『ああもう、ジャッキからも言ってよ。バラカスと白雪ちゃんを覗くだなんてダメだよね?』
大倉は言い出したらきかないから、ウチは縋る思いでジャッキに助けを求めた……なのに、
【マジョ! 急いで行かないと、下手すりゃ瞬殺されて間に合わない! 早く行って! 追いかけて!】
えぇ……!?
ジャッキまでそういうコト言っちゃうの?
んんんんん……もうっ!
分かったよ、行くよ! 行きますよっ!
ウチはバラカスの家を飛び出して、庭にある移動の陣へと駆け出しだのだ。
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